病歴や犯罪歴もAI開発に利用可能へ…改正個人情報保護法「統計特例」は本当に危険なのか? 板倉陽一郎弁護士が語る本当の課題

病歴や犯罪歴もAI開発に利用可能へ…改正個人情報保護法「統計特例」は本当に危険なのか? 板倉陽一郎弁護士が語る本当の課題

●「統計特例」は氏名や内容の公表を義務付け

このように統計特例は、主として、「統計作成等」を目的としたクローリングと、名寄せによる統計の作成を可能とします。

そして、これらをおこなう事業者に対して、「統計作成等」以外の目的での利用を禁止する他、(1)氏名または名称、(2)統計作成等の内容等の公表を義務付け、提供を伴う場合には、提供元・提供先の双方における、(1)(2)等の公表、(3)提供元における提供先事業者の公表、(4)統計作成等目的による制限を両者間の書面等による合意(契約)によりおこなうことを義務付けています。

これらの違反は、新たに導入される課徴金納付命令の対象にもなります(改正後148条の3第1項4号5号)。

●データ悪用のリスクは本当か?

さて、統計特例の問題点はどこにあるのでしょうか。

すでに、国会での審議を含め、さまざまな議論がなされていますが、その中には必ずしも当を得ないと思われるものも含まれていますので、順に検討しましょう。

まず、「データの流出や悪用のリスク」[9]という最もシンプルな(あまり具体性はない)議論があります。

しかし、統計特例の公表事項を遵守しつつ、わざわざ「悪用」するというのは合理的でしょうか。

事業者は、悪用する場合、法令などそもそも無視します。

大手保険会社は、保険代理店において個人データの分別管理をせず共有し、保険代理店への出向者を通じて、親元の保険会社にシンプルに個人データを盗み出していました[10]。

法律は単純に無視です。わざわざ、課徴金納付命令のリスクをおかしてまで統計特例を「利用して」(提供先として公表されて)悪用する、というのは想定しがたいものがあります。

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