付き合いは順調。喧嘩も滅多にないし、一緒にいて居心地もいい。周囲から見れば「もう結婚も近そう」と思われるようなカップルなのに、なぜか自分だけは安心できない。
「このまま何年も変わらなかったら?」「私は本当に結婚できるのかな」……そんな不安が夜中に押し寄せ、一人で涙が出てしまう女性は少なくありません。結婚に進まない理由として、「男性が決断できない」「女性が焦りすぎている」「タイミングが合わない」と言われることがあります。もちろん、それが原因の場合もあります。しかし実際の相談現場では、それだけでは説明できない“ズレ”が潜んでいることも多いのです。
※もちろん、結婚しないという選択をお互いに望み、幸せな関係を築いているカップルもいます。今回は、結婚を望んでいるのに話が進まず、不安を抱える人たちのケースを取り上げます。
「結婚を意識」すると、恋人を見る目が変わってしまう
英美里さん(仮名・38歳/会社員)は、以前の職場で知り合った誠也さん(仮名・35歳/会社員)と3年ほど付き合っています。英美里さんはそろそろ結婚したいものの、具体的な話はお互いに何となく避けている状態。ただ、恋人としての相性は悪くありません。デート先を決めるときも、彼は「英美里の行きたいところでいいよ」と優しく合わせてくれます。誕生日や記念日も穏やかに過ごし、一緒にいる時間は居心地がいい。英美里さん自身も「別れるほど嫌なところなんてないんです」と何度も口にしていました。
ただ、その“優しさ”に、少しずつ違和感を覚えるようになったと言います。
恋愛中は、一緒にいて楽しいか、会話が弾むか、居心地がいいかなど、“今の幸せ”が重視されます。しかし結婚を意識した瞬間、人はふと「10年後もこの人とやっていけるだろうか?」という目線で相手を見るようになります。英美里さんも、これまで気にならなかったことが急に引っかかるようになっていきました。「優しさ」が「逃げ」に見えてしまう瞬間
英美里さんが違和感を覚えたのは、旅行の計画を立てていたときでした。「彼にどこに行きたいか候補を聞いたんです。そうしたら、考えるそぶりもなく『英美里の好きな方でいいよ』とだけ言って、スマホのゲームに戻ってしまって。以前なら、私を優先してくれる優しさだと思えていたと思います。でも結局、私が行き先を決めたら、フライトや宿の予約も全部私がやることになるんです。最近は、そういう態度が“責任を負いたくない逃げ”に見えてしまって……」
ここで重要なのは、誠也さんの言動そのものが急に変わったわけではないということです。変わったのは、英美里さんが“彼を見る基準”でした。
恋愛中は「私に合わせてくれる優しい人」と感じていた部分が、結婚を意識した途端、「自分で決めてくれるのか」「面倒なことも一緒に背負ってくれるのか」「生活を一緒に作っていけるのか」という不安に変わっていったのです。以前は「マイペースで自分を持っている人」と感じていた長所も、「協調性がなく、家事や育児も私任せになるのではないか」という不安につながる。趣味や旅行に躊躇なくお金を使う姿も、「家族になっても自分のためにばかりお金を使うのではないか」と見えてしまう。
恋愛のレンズでは魅力だったものが、結婚のレンズでは不安材料に変わることがあるのです。

