手の指がつる症状が前兆となる病気や不足している栄養素はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「手の指がつる」症状に効果がある食べ物とは?考えられる病気も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
「手の指がつる」症状が前兆となる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「手の指がつる」に関する症状が前兆となる病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脳梗塞
脳梗塞とは、脳の血管が詰まることです。血管が詰まると、その先の細胞には栄養がいかなくなり、働かなくなります。脳の細胞は一度機能しなくなると再生することはないため、脳梗塞を発症した後に後遺症が残ってしまうことが多いです。
脳梗塞は脳の血管に動脈硬化が起こって血管が細くなっている部位に詰まって起こる「脳血栓症」と心臓でできた血栓が脳に運ばれて血管を詰まらせる「脳塞栓症」の2つに分けられます。
症状は手足のしびれや麻痺・ろれつが回らない・片方の目が見えない・経験したことのないような激しい頭痛などです。
高血圧などの生活習慣病により、動脈硬化が進行することや不整脈など心臓の病気が主な原因です。
治療は薬物療法・点滴・手術など、状態により異なります。予防するには、生活習慣の改善や薬物療法で生活習慣病や不整脈の管理が必要です。疑わしい症状がある場合は、早急に救急要請をしましょう。
肝臓病
肝臓病とはウイルス感染・飲酒や食生活や運動など生活習慣・薬物などが原因で肝炎を発症し、慢性化して悪化すると肝硬変や肝臓がんへと進行する病気です。
症状は倦怠感などが現れる場合がありますが、自覚症状がない場合がほとんどです。肝硬変まで進行すると、脱水・電解質の異常・アミノ酸の代謝異常などが原因で筋肉の痙攣が起こったり、黄疸やむくみや腹水などの症状が現れます。
健康診断などで肝機能の異常を指摘されたり、倦怠感や手や足がつる、むくみなどの症状がある場合はすみやかに消化器内科を受診しましょう。
糖尿病
糖尿病とはインスリンという血糖値を下げるホルモンの作用不足により、高血糖が続く病気です。主な原因は遺伝や食事や運動などの生活習慣です。
高血糖が慢性化すると、動脈硬化が進行し、脳血管疾患・心疾患、糖尿病特有の合併症の神経障害・腎症・網膜症などの病気を起こすリスクが高まります。
高血糖が持続すると、体重減少・口渇・多飲・多尿・倦怠感などの症状が現れます。神経障害の症状は手足の筋肉の萎縮やしびれなどの感覚障害や立ちくらみや食欲不振など自律神経の障害などです。
健康診断で血糖やHbA1cの高値を指摘されたり、体重減少・口渇・多飲・多尿・倦怠感・手足がつるなどの症状がある場合はすみやかに一般内科を受診しましょう。
甲状腺機能低下症
甲状腺は、のどぼとけの下にある臓器で、ホルモンを分泌して体の代謝を調節しています。甲状腺機能低下症は甲状腺から分泌されるホルモンが低下した状態です。
筋肉のけいれん・倦怠感・むくみ・体重増加・寒がり・便秘などの症状や血液検査ではコレステロール値の上昇が現れます。甲状腺の炎症が発症の原因で多いですが、ヨウ素(昆布やヨード卵やヨウ素を含んだうがい薬)の過剰摂取や甲状腺の治療なども原因になります。
健康診断でコレステロール値の上昇を指摘され、筋肉のけいれん・倦怠感・むくみ・原因不明の体重増加・寒がり・便秘などの症状があれば早めに一般内科や内分泌内科を受診しましょう。
副甲状腺機能低下症
副甲状腺とは甲状腺の近くにある臓器で、血液や組織中のカルシウムの濃度を調節しています。副甲状腺機能低下症は副甲状腺から分泌されるホルモンが低下した状態です。
ホルモンの分泌が低下し体内のカルシウムが不足すると、テタニー(手足の筋肉のけいれん)、手足のしびれ感やけいれんなどの症状が現れ、悪化すると症状が全身におよびます。
原因は遺伝・免疫異常・副甲状腺の異常・カルシウム感受性の異常などです。治療は症状に合わせた薬物療法を行います。
手や足がつる、しびれ感やけいれんなどの症状がある場合は早めに一般内科や内分泌内科を受診しましょう。
「手の指がつる」ときに足りない栄養素
手の指がつるときに足りない栄養素は、ミネラルやビタミンです。ミネラルやビタミンを多く含む食べ物を摂取しましょう。手の指がつるときに不足している可能性があるミネラルは、マグネシウム・カリウム・カルシウム・ナトリウムです。病気があり、制限が必要な栄養素がある場合は医師の指示に従ってください。
マグネシウム
マグネシウムは筋肉を弛緩させる働きがあり、体内ではカルシウムとバランスをとって、筋肉の収縮を制御しています。マグネシウムを多く含む食品はひじきや昆布などの海藻類、かつおやマグロなどの魚介類、玄米ご飯など精製されていない穀類、豆腐や納豆などの大豆製品などです。
カリウム
カリウムは筋肉機能の調節をする働きがあります。カリウムを多く含む食品はひじきや昆布などの海藻類、さわらやマグロなどの魚介類、ほうれん草や春菊などの野菜類、納豆や枝豆などの大豆製品、さつまいもやじゃがいもなどの芋類、バナナやりんごなどの果実類などです。
カルシウム
カルシウムは筋肉を収縮する働きがあります。体内ではマグネシウムとバランスをとって、筋肉の収縮を制御しています。カルシウムを多く含む食品は牛乳やチーズやヨーグルトなどの乳製品、いわしやししゃもなどの魚介類、小松菜や春菊などの野菜類、生揚げや高野豆腐などの大豆製品などです。
ナトリウム
ナトリウムは筋肉を収縮する働きがあります。ナトリウムは通常の食生活であれば不足することはありませんが、大量の発汗や下痢や嘔吐など、急激に体液を失った場合には不足してしまうことがあります。スポーツドリンクや経口補水液の摂取がおすすめです。
ビタミン
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。ビタミンB1の欠乏は神経障害の原因になります。ビタミンDを多く含む食品は鮭やいわしなどの魚介類、まいたけや乾しいたけなどのきのこ類などです。ビタミンB1を多く含む食品は玄米や胚芽米などの穀類、豚肉や豚や鶏のレバーなどの肉類、うなぎなどの魚介類などです。

