なぜ「トイ・ストーリー5」“主人公”はジェシーなのか? 制作陣が明かす「ウッディから引き継いだ宿命」

なぜ「トイ・ストーリー5」“主人公”はジェシーなのか? 制作陣が明かす「ウッディから引き継いだ宿命」

7月3日から劇場公開されたディズニー&ピクサーの最新作「トイ・ストーリー5」が、公開11日間で興行収入50億円を突破する歴史的な大ヒットを記録している。前作「4」の結末をめぐって議論が巻き起こったシリーズにおいて、本作はSNSを中心に早くも「シリーズ最高の傑作」と評価されるほど、多くの観客、特にかつて子供だった大人たちの心を強く動かしている。

しかし、本作を鑑賞した人、あるいはこれから見る人のなかには、「なぜストーリーの中心となるキャラクターがウッディやバズではなくジェシーなのか?」と疑問に思う人も少なくないだろう。これまでシリーズの顔として物語を牽引してきたウッディが「4」で離脱したとはいえ、なぜジェシーがそのバトンを受け継ぐことになったのか。

アンドリュー・スタントン監督ら制作陣が語る本作の舞台裏から、その真意とジェシー抜擢に迫った。

制作陣が明かす「ジェシーを中心とした理由」

本作で共同監督を務めたケナ・ハリス氏は、ジェシーを主役に据えた魅力について「ジェシーは楽しいキャラクターです。彼女はウッディとは違う形で問題を解決します。もっと新しいことがたくさんできると私たちは感じました」と、ウッディとは異なるアプローチでトラブルに立ち向かう彼女の新鮮さを語った。

しかし、なぜほかの誰でもなくジェシーだったのか。スタントン監督は、「5」の制作が決まり、初稿を書き進めるなかで、作品の方向性が見えてきたと振り返る。

「参加するオファーがあったとき、まだ具体的なアイデアはありませんでした。そこで私は『まずはひどい初稿を書かせてほしい』と言いました。私はいつも最初にひどい初稿を書くからです。その過程を経て、映画ファンとして自分が何に興味を持つのかが見えてきます。その初稿の大きな要素は、『ジェシーを中心にすること』『おもちゃがだんだん遊ばれなくなっているという現実を描くこと』でした」

さらに、彼女が背負うこれまでの歩みと、おもちゃたちの世界の「世代交代」という現実的な変化も重要な要素だった。

「ジェシーにはトラウマがたくさんあります。彼女にはいろいろなことが起きました。ウッディは彼女にバッジをあげて、ボニーの世界を託したのです。現実の世界ではそれくらいの時間が経ったとも思いましたし。誰が子供部屋の責任者かというのは、変わっていくものですよね。突然にして、ジェシーはボニーの部屋の担当になりましたが、それを現実のものとして描きたかったんです」

おもちゃとしてのかなしい過去を持ちながら、前作のラストでウッディからリーダーの証である保安官バッジを受け取ったジェシー。彼女がボニーの部屋の責任者として、実際に子供部屋の現実に向き合う姿を描くことこそが、本作の出発点だったのだ。

また、ピクサー作品では「ファインディング・ドリー」などのように、脇を固めていたキャラクターを続編で物語の中心に据える際、「映画全体を支えられるか」という懸念が常に付きまとうという。プロデューサーを務めたリンジー・コリンズ氏は、ジェシーへの絶大な信頼を次のように振り返った。

「ジェシーに関しては、それほど心配がありませんでした。『トイ・ストーリー2』がありましたからね。あの映画でジェシーには感情的な場面があります。主人公ではないにしても、ジェシーは過去に何かがあったキャラクターだといつも感じさせてきました。だから、ジェシーを中心にしてストーリーが成り立つかという疑問はありませんでした。問題は、どんな話にするのか、だったのです」

制作陣は最初の2年間、ジェシーの物語をどのように描くべきかを模索し続けたという。そしてたどり着いたのが、「彼女のトラウマをどう癒すのか」というテーマだった。

大人に刺さる「トラウマの克服」と不変のテーマ

「2」で描かれた、最初の持ち主エミリーとの別れ。ジェシーはおもちゃのなかで誰よりも「子供の成長による離別と廃棄」を経験し、心に傷を負っている。

今作でボニーがタブレットに夢中になり、おもちゃたちの元を去っていくという危機に直面した際、ウッディたちとは異なる「遺棄された過去」を持つジェシーだからこそ、その痛みを誰よりも深く理解し、新たなリーダーとして立ち上がることができた。本作が子供だけでなく大人に深く刺さるのは、ジェシーという傷だらけのキャラクターが、おもちゃと子供の新しい関係性を肯定し、自らのトラウマを克服していくプロセスが描かれているからにほかならない。

スタントン監督は、このシリーズが国境や世代を超えて愛され続ける理由を、こう語っている。

「子供の頃のことは、誰もがよく覚えているからでしょう。大人になると、人はそれぞれに線路を選ぶようになります。しかし、人生の最初の5年くらいは、共通する部分が非常に多いのです。子供から成長していく過程というのは国境を超えてわかりあえるものなのだと思います」

配信元: iza!

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