●弁護士費用も、勝てば市に請求できる
次に弁護士費用です。
弁護士費用は弁護士によって異なりますが、多くの場合、依頼時に支払う「着手金」と、勝ったときの「成功報酬」という形をとります。
かつて弁護士が一律に用いていた「旧報酬規定」で計算すると、1億円を請求する裁判の着手金は369万円。成功報酬まで含めると1100万円ほどです。
110万円では、着手金にも足りません。
もっとも住民訴訟には、勝訴すれば弁護士報酬のうち相当な額を自治体に請求できる制度があります(地方自治法242条の2第12項)。
実際、県が8000万円あまりを取り戻せた住民訴訟もあります。この事案では1012万円が相当な額と認められました(名古屋地裁平成29年(2017年)6月29日)。
110万円という金額は、この制度を前提に抑えられた初期費用とみられます。
ただし「相当と認められる額」が少額にとどまることもあります。
過去には、認められた額が原告全員でわずか30万円だった裁判例もあります。
●勝訴できなかった場合
また、個人的な意見ではありますが、今回は勝訴のハードルが高いと考えられます。
市が選挙費用を支出した行為の違法性を認めさせるとか、田久保氏の経歴詐称を不法行為とみる場合には、経歴詐称と選挙費用の支出の因果関係の立証などが必要となり、簡単ではありません。 敗訴すれば、この制度は使えません。
弁護士費用は、集まった110万円の範囲内でまかなうことになりそうです。
小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

