乳腺エコー検査で見つかる主な所見や良性と悪性の違いはどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「乳がん検診」の「乳腺エコーのメリット」は?良性と悪性の違いについても医師が解説』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医
乳がんとは
乳がんは、主に乳管から起きる乳腺組織のがんです。乳がんの約90%が乳管から発症するといわれますが、小葉から発症することもあり、これは小葉がんと呼ばれています。また稀ですが、乳管や小葉以外の箇所から発症することもあります。
乳がんの症状はしこりが主で、自分で触ったときに気がつくことが多いでしょう。ほかの症状には乳輪にえくぼのようなくぼみができる、乳房の形が変わる、胸にただれが生じるなどがあります。乳がんは女性が発症しやすいがんの1つで、約14人に1人の割合で起きるといわれます。
乳線エコー検査の主な所見は?良性と悪性の違い
乳腺エコーをした場合、乳がん以外の病気が見つかるときがあります。主な所見を6種類紹介します。
乳腺症
胸にしこりや痛み、そしてハリが起きます。悪性のしこりは乳がんですが、乳腺症は良性のしこりです。胸のしこりに気がついて受診した患者さんのなかで、特に多い症例ともいわれ、乳腺エコーを受けると乳腺症と診断されることが多いでしょう。
また、30代から40代の女性がかかりやすい疾患で、ホルモンバランスの乱れが発症の原因と考えられています。良性の疾患なので治療は通常必要ありません。
葉状腫瘍
乳腺エコーで発見される主な腫瘍の中に葉状腫瘍があります。乳がんは乳腺から生じますが、葉状腫瘍は乳腺以外の間質からの発症です。ほとんどの葉状腫瘍は良性と判断されますが、悪性やどちらともとれないとされる場合もあります。治療方法は手術による切除です。
乳腺嚢胞
乳腺嚢胞は、体内にできた袋状のものです。袋内部には液体がたまり、ほとんどは良性ですが、低確率で悪性に変化することがあります。これは腺様嚢胞がんで、乳腺にできれば乳がんと診断されます。
ただ乳がんではあっても、治る確率はとても高く、10年後の生存率は95%とされているほどです。そのため、転移が起きていなければ、薬物療法が不要と判断されることもあります。
乳腺線維腺腫
乳腺線維腺腫は、10代後半から40代までと幅広い年齢の女性にできやすい腫瘍です。症状は、胸に2cmから3cm程の良性のしこりができます。必ず治療をしなければならない腫瘍ではありませんが、3cm以上のサイズに変化することもあります。そのような場合は葉状腫瘍と診断されることがあり、その際は手術が必要です。
乳管内乳頭腫
30代から50代の年齢層の女性にできやすい良性の腫瘍です。症状はしこりができますが、気がつかない場合がほとんどです。しこりによる痛みもなく、見た目にも変化は少ないので普段の生活に支障は起きません。ただ乳頭から血の混じった液体が出ることがあり、しこりが大きくなる場合もあります。そうなると、悪性の乳がんによる症状と診断される場合もあるでしょう。
乳頭からの出血が長期間出続けるようなら、すぐに病院へ行って医師の判断を仰ぎましょう。状況によっては、乳がんと判断されなくても手術が必要な場合があります。
乳管拡張症
症例数の少ない症状です。40歳〜60歳代の女性に起きやすく、乳管に炎症と拡張が起きる疾患です。ほとんどが良性のもので、即治療とはなりません。ただ、エコー検査で腫瘍が確認された場合は、悪性の可能性があると判断されることもあります。

