「バセドウ病」でやってはいけないことはご存知ですか?食事面の注意点も解説!

「バセドウ病」でやってはいけないことはご存知ですか?食事面の注意点も解説!

バセドウ病と診断されると、普段どおり生活してもよいのか、食事で気を付けることはあるのか、運動は控えたほうがよいのか、と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

バセドウ病は、適切な治療によって症状や甲状腺機能の改善が期待できますが、治療中の過ごし方によっては症状の悪化や再発のリスクが高まることがあります。特に、自己判断で薬を中断したり、ヨウ素を多く含む食品やサプリメントを過剰に摂取したりしないようにしましょう。

本記事では、バセドウ病の治療中に避けたい行動や食事・生活習慣の注意点、日常生活でよくある疑問を解説します。

林 良典

監修医師:
林 良典(医師)

【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター

バセドウ病の治療中に避けたいこと

バセドウ病の治療中に避けたいこと

薬を自己判断でやめてはいけないのはなぜですか?

バセドウ病の治療で使用される抗甲状腺薬は、甲状腺ホルモンの過剰な産生を抑えるための重要な薬です。治療によって症状が改善すると治ったと感じることがありますが、多くの場合は薬によって甲状腺機能がコントロールされている状態です。

自己判断で服薬を中止すると、再び甲状腺ホルモンが増加し、動悸や体重減少、手のふるえなどの症状が再発する可能性があります。また、再発が重症化すると心房細動や心不全、甲状腺クリーゼなどの重篤な合併症につながることもあります。治療の中止や減量は、血液検査の結果を確認しながら医師の判断で行うことが大切です。

甲状腺クリーゼとはどのような状態か教えてください

甲状腺クリーゼは、バセドウ病などによる甲状腺機能亢進症が急激に悪化し、全身の臓器に重い障害が生じる緊急性の高い状態です。高熱、著しい頻脈、意識障害、不穏、心不全、下痢や嘔吐などの症状が現れ、命に関わることがあります。

発症のきっかけには、感染症、手術、外傷、強いストレス、抗甲状腺薬の中断などがあります。甲状腺クリーゼは集中治療が必要となる救急疾患であり、現在でも一定の死亡率が報告されています。高熱や意識障害、強い動悸などがみられる場合は、速やかに救急医療機関を受診する必要があります。

激しい運動は避けたほうがよいですか?

甲状腺機能が十分にコントロールされていない時期は、激しい運動を控えることが推奨されます。バセドウ病では甲状腺ホルモンの作用によって心拍数が増加し、心臓に負担がかかっています。その状態で激しい運動を行うと、動悸や息切れが悪化したり、不整脈や心不全のリスクが高まったりする可能性があります。

特に治療開始直後や甲状腺ホルモン値が高い時期は、ジョギングや筋力トレーニングなどの高強度運動は避け、日常生活レベルの軽い活動にとどめることが一般的です。一方で、治療によって甲状腺機能が安定した後は、医師と相談しながら徐々に運動を再開できる場合もあります。運動制限の程度は病状によって異なるため、主治医の指示に従うことが重要です。

参照:
『甲状腺疾患診断ガイドライン2024』(日本甲状腺学会)
『甲状腺クリーゼ:診療ガイドラインとレジストリー研究』(日本内科学会)
『甲状腺クリーゼ 診療ガイドライン2017』(日本内分泌学会)
『甲状腺機能亢進症・別名:バセドウ病』(慶應義塾大学病院)

バセドウ病で気を付けたい食事と生活

バセドウ病で気を付けたい食事と生活

ヨウ素や昆布のとりすぎに注意が必要ですか?

ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となる栄養素です。昆布や昆布だし、昆布を原料としたサプリメントには多量のヨウ素が含まれているため、バセドウ病の治療中は過剰摂取に注意が必要です。

特に放射性ヨウ素内用療法を受ける前後は、治療効果に影響する可能性があるため、ヨウ素を多く含む食品の摂取制限が指示されることがあります。一方で、通常の食事で海藻類を完全に避ける必要があるわけではありません。自己判断で極端な食事制限を行わず、主治医や管理栄養士の指示に従うことが大切です。

また、健康食品やサプリメントには高濃度のヨウ素を含む製品もあるため、使用前に医師へ相談しましょう。

喫煙は控えたほうがよいですか?

はい。喫煙はバセドウ病、特に甲状腺眼症の発症や悪化に関与することが知られており、禁煙が強く推奨されています。

喫煙者は甲状腺眼症を発症しやすく、眼球突出や複視などの症状が重症化しやすいことが報告されています。また、ステロイド治療や放射線治療などの治療効果を低下させる可能性も指摘されています。

さらに、副流煙も悪影響を及ぼす可能性があるため、自身が喫煙しない場合でも受動喫煙を避けることが望ましいとされています。禁煙は眼症の予防や治療効果の向上につながる重要な生活習慣改善の一つです。

ストレスや睡眠不足は症状に影響しますか?

ストレスや睡眠不足がバセドウ病の直接的な原因であることは証明されていませんが、症状の悪化や再発に影響する可能性が指摘されています。

バセドウ病は、もともと甲状腺ホルモンの過剰な作用によって動悸や不眠、イライラ感、不安感などが現れやすくなっています。そのため、慢性的なストレスや睡眠不足が加わることで、これらの症状をより強く感じる場合があります。

また、発症前や再発前に大きな精神的ストレスを経験していた患者さんもいます。ストレスを完全に避けることは難しいものの、十分な睡眠や休養を確保し、規則正しい生活を送ることは治療中の体調管理に役立ちます。

参照:
『甲状腺疾患診断ガイドライン2024』(日本甲状腺学会)
『甲状腺機能亢進症・別名:バセドウ病』(慶應義塾大学病院)
『バセドウ病』(日本内分泌学会)
『ヨウ素』(厚生労働省)

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。