私は一度、離婚を経験しています。理由はいくつかありましたが、一番大きかったのは夫の浮気でした。少しずつ笑顔を失い、毎日が苦しくなっていた私に、離婚を決意するきっかけをくれたのは、幼い子どものひと言だったのです。
「ママ、笑って」
夫の浮気がわかってからというもの、私は彼との将来を考えられなくなっていました。夫が帰宅する時間が近づくだけで気持ちが重くなり、家の中でも笑えなくなっていったのです。
そんなある日、子どもが私の顔を見つめながら言いました。
「ママ、怒ってるの?」
「ママ、笑って?」
その言葉を聞いた瞬間、胸が締めつけられました。自分では普通に接しているつもりでしたが、子どもには私のつらさが伝わっていたようです。
このままではいけない――。そう思った私は、離婚という選択をしました。
不安よりも大きかったもの
当時の私は仕事を辞めており、経済的な不安はもちろんありました。それでも、「子どもの前で笑える自分でありたい」という気持ちのほうが大きかったのです。
シングルマザーとしての生活は決して楽ではありませんでした。仕事と家事、育児に追われる毎日で、自分の時間はほとんどありません。それでも不思議なことに、以前より笑うことが増えていました。
今振り返ると、あのころは大変だった反面、子どもと最も濃い時間を過ごせた時期だったように思います。

