電車で席に座り、スマートフォンを見ていたときのことです。隣にいた中学生の女の子の何げない行動をきっかけに、車内の空気がふっと和らいだ瞬間がありました。大きな出来事ではありませんでしたが、今でも心に残っている光景です。
隣の女の子が席を立った
その日、私は電車の席に座り、スマートフォンを操作していました。私の隣では、中学生と思われる女の子が英単語帳を開き、静かに勉強していました。
次の駅で、ベビーカーを押した母親が乗車してきました。すると隣の女の子は、迷う様子もなくすぐに席を立ち、その母親に席をゆずったのです。
母親は最初こそ恐縮しているようでしたが、ありがたく席に腰かけました。母親は私の隣でベビーカーを支え、席をゆずった女の子は私の目の前に立ち、再び単語帳を開きました。
幼児の笑顔に応えた小さなやりとり
しばらくすると、ベビーカーに乗っていた幼児が突然、キャッキャと笑い出しました。何がきっかけだったのかはわかりません。私がスマートフォンに視線を落としていると、目の前に立っていた女の子が、幼児の笑顔に応えるようにやさしく手を振っているのが見えました。
幼児が笑うと、女の子がまた手を振る。そんなやりとりが何度も繰り返されました。最初はその親子と女の子だけの小さな交流に見えましたが、気付けば周囲の乗客もその様子を見守るようになっていました。

