飲酒で「喉頭がん」の”発生リスクが何倍”になるかご存じですか?理由を医師が解説!

飲酒で「喉頭がん」の”発生リスクが何倍”になるかご存じですか?理由を医師が解説!

喉頭がんはお酒を飲む習慣との関連が注目されています。飲酒によるリスクの上昇やそのメカニズムを医師が解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「喉頭がんはお酒」を飲むとリスクが高まる?初期症状も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

小島 敬史

監修医師:
小島 敬史(立川駅前おといろ耳鼻咽喉科)

【経歴】
経歴
2006年3月慶應義塾大学医学部医学科卒
2008年3月佐野厚生総合病院初期臨床研修修了
2008年4月慶應義塾大学耳鼻咽喉科学教室所属
2013年9月慶應義塾大学病院助教として勤務
2018年8月米国ノースウェスタン大学耳鼻咽喉科で遺伝性難聴の基礎研究に従事
2021年5月国立病院機構栃木医療センター耳鼻咽喉科医長
2026年4月立川駅前おといろ耳鼻咽喉科院長(現職)
【資格等】
日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医、日本耳科学会認定医、補聴器相談医、補聴器適合判定医
所属学会:日本耳鼻咽喉科学会、日本耳科学会、日本聴覚医学会

喉頭がんの発生リスクとお酒の関係

喉頭がんの発生リスクとしてお酒や喫煙などさまざまな危険因子が知られています。そこで、本章では、どの程度のお酒が発生リスクを上げてしまうのか、またその理由、お酒以外の危険因子を解説します。

飲酒で喉頭がんの発生リスクが2.6倍に

お酒を飲む方は、飲まない方に比べて喉頭がんになるリスクが高いことがわかっています。2017年に米国臨床腫瘍学会(ASCO)が発表した声明によれば、大量飲酒者の喉頭がん発生リスクは、非飲酒者の約2.6倍にも上ります。適度な飲酒量であってもリスクはゼロではなく、中程度の飲酒者でも喉頭がんリスクが約1.4倍に高まると報告されています。

日本人の研究でも、週に1回以上お酒を飲む習慣がある男性は、まったく飲まない男性に比べて口腔や咽頭がんのリスクが1.8倍に増加し、さらにエタノール換算で週300g以上(日本酒換算で1日2合以上)の大量飲酒をする男性ではリスクが3.2倍に上昇したとのデータがあります。

このように、お酒を飲む量や頻度が多いほど喉頭だけでなく喉全体のがんリスクが高まる傾向が確認されています。

飲酒で喉頭がんにかかりやすくなる理由

では、なぜお酒を飲むと喉や声帯のがんになりやすくなるのでしょうか?その背景には、アルコールの体内での分解過程と、それに伴う発がん性物質の産生があります。

私たちが飲んだアルコールは、肝臓やお口の中でアルコール脱水素酵素(ADH)という酵素によって分解され、アセトアルデヒドという物質に変わります。このアセトアルデヒドは毒性が強く、発がん性を持つ物質として知られています。アセトアルデヒドはDNAやタンパク質を傷つけ、細胞に突然変異を引き起こすことで発がんにつながる恐れがあります。
さらに、アルコールそのものの作用で喉や食道の粘膜が傷つきやすくなることも指摘されています。アルコール飲料は粘膜を刺激します。その結果、タバコなどのほかの発がん物質が組織に影響しやすくなり、喉の細胞がダメージを受けやすくなると考えられています。

飲酒以外にも喉頭がんのリスクを高める生活習慣

喉頭がんの主な原因として強く関連しているのは喫煙であり、次いで飲酒がリスク要因になります。特に喉頭はタバコの影響を受けやすいとされています。実際、喉頭がん患者さんの多くは長年の喫煙者であり、タバコを吸わない方に喉頭がんはまれです。特に、飲酒者で喫煙もする方では前述のようにリスクが高まる恐れがあります。

また、食生活もリスクを高める可能性があります。野菜や果物に含まれるビタミン、抗酸化物質には発がんを抑える働きがあると考えられています。アルコールをたくさん飲む方ほど食事が偏ったり野菜不足しがちな傾向があります。そのため、飲酒習慣のある方は意識して緑黄色野菜や果物を摂取し、栄養バランスを整えることが大切です。

喉頭がんについてよくある質問

ここまで喉頭がんの、お酒を飲んだ際のリスクやその他のリスクを解説しました。本章では、喉頭がんのお酒に関するよくある質問を、メディカルドック監修医がお答えします。

毎日お酒を飲んでいる人が喉頭がんのリスクを下げるにはどうすれば?

小島 敬史 医師

まずお酒の量や頻度を減らすことが効果的です。節度ある適度な飲酒の目安は、1日あたり純アルコールで約20g(ビール中瓶1本や日本酒1合相当)とされています。毎日それ以上の量を飲んでいる方は、まずこの範囲まで減らすことを目標にするとよいでしょう。

また、喫煙者がお酒も飲む場合、喉頭がんのみならず多くのがんのリスクが飛躍的に上昇します。たとえお酒の量を減らせなくても、禁煙するだけでリスクは大幅に下げることができます。

さらに、食生活にも気を配ることも重要です。野菜や果物、タンパク質をしっかり摂り、ビタミン類が不足しないことが大切です。特に大量飲酒を続けているとビタミンB群や葉酸不足に陥りやすいため、意識的に補給しましょう。

喉頭がんとお酒の種類は関係がある?

小島 敬史 医師

お酒の種類による喉頭がんリスクの違いはほとんどありません。大切なのはアルコールの総摂取量です。アルコール度数や量が同じであれば、どの種類でもリスクは同等と考えられます。どのお酒でも飲み過ぎれば同じだけのアルコールを摂取することになり、結果的に喉頭がんのリスクも高まってしまいます。

喉頭がんになりにくいお酒との付き合い方は?

小島 敬史 医師

喉頭がんになりにくいお酒との付き合い方のポイントは、まず先述したようにできるだけ適量にとどめることです。次に週に数日はお酒を飲まない日を作ることです。例えば「月・水・金は飲まない」などマイルールを決めてみるとよいでしょう。
そして、飲みながらタバコを吸わないことです。お酒の席ではつい喫煙本数が増えてしまう方もいますが、喉頭へのダメージを抑えるためには禁煙あるいは少なくとも飲酒時の喫煙を控えることが不可欠です。

配信元: Medical DOC

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