
パートナーのモラハラに支配されていると、自分と相手のどちらが悪いのか、確信が持てないこともでてきますね。しかし、離婚調停や離婚裁判で戦うには、主観ではなく客観的な「証拠」が必要です。何をどう残せば、第三者に「モラハラ被害」を理解してもらえるのでしょうか。
この記事では夫からのモラハラ被害と離婚までの実体験をもとにしたセミフィクション作品『モラハラ夫討伐日記』から、具体的なモラハラエピソードをご紹介します。さらに、モラハラ離婚で必要な証拠や証拠集めの方法について、弁護士法人プロテクトスタンス所属の金岡紗矢香(かなおか さやか)さんに伺います。
『モラハラ夫討伐日記 』カコさんの場合
30歳、授かり婚で結婚を決めたカコさん。しかし婚約者の誠は結婚前に無職になり、仕事を探そうともしません。それどころか婚姻届を提出したその日に「お前は今日から奴隷だから」と言いだします。

その頃から違和感を覚えていましたが、ある日、誠が不倫して相手を中絶させていたことがわかります。誠は「お前が悪い」「被害者は俺」などと言いだし、一切反省しません。
不倫相手に中絶費用を払って手を切らせたカコさんでしたが、その後も誠はギャンブルに手を出したり、「食費は月5千円に抑えろ」「デブ、痩せろ」「奴隷のくせに」などとモラハラは加速する一方。ついにカコさんは離婚を決意するのですが…。

金岡弁護士に聞く「モラハラの証拠集め」
苛烈なモラハラに苦しんだカコさん。しかし外ヅラのいい夫は調停委員の前で「誠実ないい人」を装い、都合の良いウソを並べて調停を長引かせます。調停や裁判の場で、第三者に家庭内のモラハラを理解してもらうために、必要な証拠にはどんなものがあるのでしょうか。弁護士の金岡紗矢香さんに、モラハラの証拠の例と、それを集めるときのNG行動について聞きました。
――パートナーの「モラハラ」を理由に離婚したい場合、調停や裁判ではどんなものが「証拠」となり得るのでしょうか。具体例を挙げて教えてください。
金岡弁護士:モラハラは目に見える傷が残りにくいため、日常の被害を客観化できる証拠の積み重ねが不可欠です。たとえば、暴言、人格否定、不誠実な対応などが読み取れるLINEやメールのメッセージは、有力な資料となります。
また、怒鳴り声や執拗な叱責を録音した音声データも、精神的な圧迫を受けていることを示す有力な証拠になり得ます。ほかにも、「いつ、何を言われ、どう感じたか」を記した日記やメモ、精神的な不調による通院記録や診断書も、被害の状況を裏付ける重要な意味を持ちます。
決定的な証拠を求めるよりも、複数の証拠を時系列で揃え、モラハラの実態を調停委員や裁判官に伝えることが大切です。

――パートナーにバレないように離婚の証拠を集める際、やってはいけないNG行動や、法的に不利になるリスクはありますか?
金岡弁護士:証拠収集は重要ですが、方法を誤ると法的トラブルを招く恐れがあります。
たとえば、配偶者のスマホのロックを勝手に解除して覗き見る、SNSアカウントに無断でログインする、車などにGPS機器を無断で取り付けるといった行為は、違法と判断されかねません。また、感情的になり、集めた証拠をSNSへ投稿すると、逆に名誉毀損で訴えられるリスクがあります。
証拠集めが発覚し、配偶者の執着や監視が激化する危険性も忘れてはいけません。まずは自身の安全を最優先し、弁護士や支援機関に相談しながら水面下で慎重に進めることが大切です。

――カコさんは裁判を始める前に住所に閲覧制限をかける必要に迫られました。精神的DVだけで身体的暴力がない場合、役所や裁判所で『住所を隠す』ハードルは高いのでしょうか。住所の閲覧制限を勝ち取るための、申請のコツや必要な準備を教えてください。
金岡弁護士:身体的な暴力がなく、精神的DVやモラハラの被害だけでも、住民票などに閲覧制限を設ける支援措置が認められる可能性は十分にあります。
この措置を利用するには、住民票のある市区町村役場で手続きを行いますが、事前に警察や相談機関(配偶者暴力相談支援センターなど)への相談を求められるケースが大半です。手続きを進める前に、どのような被害を受けているか警察や相談機関に説明し、相談した記録を作っておくことが大切です。
また、これまでに集めていたモラハラの証拠も、申請を認めてもらうための重要な資料となります。
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日常的なモラハラを証明するには、LINEや録音、日記といった「小さな証拠の積み重ね」が必要となります。ただし、焦るあまり相手を怒らせるようなリスクのある行動に出るのは禁物。作中のカコさんのように強い意志を持ちつつも、方法を誤らないよう水面下で賢く動くことが大切です。まずは周囲の人々や専門機関などに相談しながら、対策を考えてみませんか。

