「助けてくれない…?」真夏の弁当配達で聞こえた弱々しい声。家の中で目にした光景とは【体験談】

「助けてくれない…?」真夏の弁当配達で聞こえた弱々しい声。家の中で目にした光景とは【体験談】

布団の周りに並ぶ薬の袋

「あなた、お医者様に電話してくれる? 番号がわからなくて……」と言うM本さんの頼みで、かかりつけ医に電話をし、M本さん本人と話をしてもらいました。アドバイスを受けているのを見届けて、私は次の配達先へ向かいました。M本さんは、弁当店の店長から連絡した県外在住の息子さんが手配し、翌日入院したそうです。

その後、入院したままなのか、施設に入られたのか、息子さんのところへ行かれたのか、弁当配達の依頼はなく、M本さんの経過はわかりません。一介の弁当配達員が知る由もありませんでした。ただ、あの日M本さんの家の中で見た光景は、私の心に残りました。

大きなお家の広い居間の真ん中に布団を敷き、エアコンもつけずに冬布団に寝ていたM本さん。布団の周りに並んだ薬のビニール袋。体温調整や服薬管理ができない状態だったことがわかります。台所には、大きなキャビネットがいくつもあり、アンティーク調の食器類がたくさん並んでいました。過去に多くの家族やお客様と、にぎやかな時間を過ごされていたのだろうと思いました。しかし、手前のどっしりとしたダイニングテーブルの上は、食べ残しや洗われないままの食器、郵便物の山で埋め尽くされていました。玄関でのやりとりだけではわからない、荒れた暮らしぶりがそこにありました。

まとめ

M本さんの生活には、弁当配達時に玄関先でやり取りするだけではわからない実情がありました。日ごろはケアマネジャーやヘルパーの支援を受けながら、どうにか1人で暮らしてきたM本さん。認知症を患いながらも、頑張って暮らしてこられたのだと思います。私は、遠方の実家で1人暮らしをしている高齢の母のことを思いました。頭も足腰も元気ですが、いつまでもそうとは限りません。血圧の薬だけは飲んでいますが、ちゃんと飲めているのか、部屋で熱中症になっていないか……。いろいろ気になり、その晩電話をかけてみました。明るい母の声を聞いてひと安心し、久しぶりに長話をしました。配達先で出会う高齢者の方々、私はいつもその向こうに、自分の親の姿を感じます。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

著者:名和なりえ/50代女性・パート
イラスト:おんたま

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています

著者/シニアカレンダー編集部
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配信元: 介護カレンダー

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