お笑いコンビ・爆笑問題の太田光が、28日深夜放送のTBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」に出演。原発不明がんのため14日に亡くなった、編集者で評論家の山田五郎さん(享年67)との思い出を振り返った。
ヘビースモーカー同士として多くの時間を過ごした喫煙所での強烈なやり取りや、約1年前に交わしたという「最後の会話」を明かし、笑いを交えながら、博覧強記で知られた故人を偲んだ。
「ふざけた国会図書館みたいな人」圧倒的な知識量とユーモアへの敬意
近年では、フジテレビ系の不定期特番「アート音痴で悪いか?!」にて共演していた山田さんと爆笑問題。美術のみならずサブカルチャーから時事問題まで、あらゆる分野に通じていた山田さんのことを、太田は「まあとにかくあの人さ、知らないことないじゃない? 『ふざけた国会図書館』みたいな人なんだよ」と独特の表現で形容し、その圧倒的な知識量を称賛した。
そんな山田さんががんを発症し、「そう長くはない」と周囲に漏らすようになってからも番組の収録は続いた。最後に行われた収録の休憩中、スタジオの狭い喫煙所で太田がタバコを吸っていると、そこへ山田さんがふらりと入ってきたという。
「ええ!? 来るんだ、ここに!?」と驚く太田に対し、「何が?」ととぼけてみせる山田さん。「『何が』じゃなくて五郎さんさあ、がんでしょ? (タバコを吸って)大丈夫なんですか?」と思わずツッコむと、山田さんは平然とこう返したという。
「大丈夫じゃないよ。だけどね太田、ゲリラ豪雨で床上浸水してるときにね、天井の雨漏り塞いだってしょうがないだろ」
がんを患いながらもタバコをスパスパと吸い続ける山田さんの姿に、「そりゃそうかもしんないけどさ、タバコ吸うんだ!?」と動揺を隠せない太田。その凄みとユーモアに、不謹慎ながらも笑ってしまったと振り返る。
この時点ですでに、がんの影響で骨が弱くなり、胸にコルセットを巻いている状態だったという山田さん。自身のレントゲン写真の様子を「ところどころ、骨の中に丸い水が溜まって、体中の骨が水玉模様になってたんだよ」と説明したうえで、「今の俺さ、草間彌生だよ。とうとう俺もさ、草間彌生になったよ。俺のこと『草間彌生』って呼んでくれよ」と、水玉がモチーフの作品で知られる世界的芸術家に絡めたブラックジョークを飛ばし、さすがの太田も「呼べねえわ!」とツッコミを入れるなど、闘病中ながらもその鋭い感性とユーモアは健在だった。
また山田さんは、同じく原発不明がんで昨年1月に亡くなった森永卓郎さんについても語っていたという。愛煙家として知られ、当時まだ存命だった森永さんのことを「あの人のタバコの量が減るってよっぽどのことだぞ。あれ相当悪いんだろうな」と気遣ってみせる様子にも思わず笑ってしまったと太田は語りつつ、休憩のたびに喫煙所で話したことを和やかに振り返った。
「最後の対面」でかけられた感謝の言葉
そんな2人にとっての「最後の会話」となったのが、約1年前に行われた「週刊現代」での対談企画だった。山田さんがホストを務める連載に太田がゲストとして呼ばれた形だったが、出版社の会議室に到着した際、担当編集者からは「五郎さんは体調が悪い」と事前に告げられていたという。
しかし、いざ会議室に入ると、山田さんは「いやあ、まさか太田くんが来てくれると思わなかったよ。忙しいのにありがとね」と元気に出迎えてくれたという。そこから2時間半にもわたって昔話に花を咲かせ、2人はその日も喫煙所で休憩を挟んだ。
対談の中で山田さんは、30年ほど前に2人が初めて出会った深夜番組の記憶を鮮明に語り出したという。まだ爆笑問題が若手だった頃、番組で太田が暴れ回り、「ここのスタッフはバラエティがわかってねえ」「こんな番組ダメだ」と吠えまくっていた姿を、山田さんはずっと覚えていた。「あれはお前、びっくりしたよ俺は。楽しかったよ」と懐かしそうに語る山田さん。「俺そんな生意気なこと言ってましたか」と驚く太田に、「生意気なんてもんじゃなかったよ!」と返した。
大盛り上がりに終わった対談の帰り際、山田さんは太田に向けて「俺もそろそろ死ぬから、これが最後かもしれないけどさ、またどっかで会おうよ」と言ってから、「本当にありがとう」と感謝の言葉を口にしたという。太田は「今から思えば、もしかしたらお別れに呼んでくれたのかなっていうのもある」と振り返り、後から編集者にも「五郎さん、本当に調子が良くて。やっぱり太田さんが来てくれたから、本当に楽しそうで、いつもはあんなんじゃないんですよ」と言われたことが、今も心に強く残っていると語った。
その後、山田さんが久々に更新したYouTubeチャンネルで「タバコが吸えなくなった」と語っているのを見て、「いよいよか」と太田も覚悟はしていたという。「図書館みたい」に博識な先達を失う寂しさを吐露しつつ、亡くなる寸前まで本を執筆するなど、精力的に仕事を続けた山田さんに深い尊敬の念を表した。
太田光(おおた・ひかり) 1965年5月13日生まれ、埼玉県出身。88年に田中裕二とお笑いコンビ「爆笑問題」を結成。政治から芸能まで社会風刺を織り交ぜた漫才で人気を博す。文筆家としても活動し、小説「マボロシの鳥」などを発表。TBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」、TBS系「サンデー・ジャポン」などで長年パーソナリティーやMCを務めている。
山田五郎(やまだ・ごろう) 本名・武田正彦。1958年12月5日生まれ、東京都出身。編集者、評論家。講談社で「ホットドッグ・プレス」編集長などを務めた後に独立。西洋美術、時計、街歩きなど幅広い分野への深い造詣を活かし、テレビ東京系「出没!アド街ック天国」のレギュラーコメンテーターを長年務めた。近年はYouTubeチャンネル「山田五郎 オトナの教養講座」での知的な解説も高い人気を博した。2026年7月14日、原発不明がんのため67歳で死去。

