オキシトシンの働き

オキシトシンは、安らぎと結びつきをもたらす物質と考えられています。なぜなら、子宮や乳腺へ作用以外にも、不安の軽減や良好な対人関係の形成などに関わっているからです。
子宮の収縮を促す
出産時の周期的な子宮収縮(陣痛)には、オキシトシンが関わっています。また、産後の子宮収縮によって出血を抑えたり、妊娠中に広がった子宮を元の状態に戻したりするのもオキシトシンの働きの一つです。
母乳の分泌を促進する
オキシトシンは、母乳の分泌を促します。授乳の際に肌が触れ合ったり、赤ちゃんの唇が乳頭に触れたりする刺激でオキシトシンの分泌は高まり、母乳が出やすくなります。
不安や恐怖を軽減する
オキシトシンは、不安や恐怖を軽減すると知られています。不安や恐怖を感じるのは、脳の「扁桃体」と呼ばれる部位です。オキシトシンには、扁桃体の過剰な活動を抑える働きがあるため、ネガティブな感情の軽減につながるのです。
ストレスを緩和する
オキシトシンには、ストレスホルモンの一種であるコルチゾールの働きを弱める作用があります。近年では、オキシトシンの経鼻投与がうつや不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状を改善するかどうかについての研究も進められています。
信頼関係を形成する
オキシトシンには、他者との信頼関係を形成する働きがあると報告されています。母子関係だけでなく、父子や夫婦、パートナーなど周囲の方との信頼感が高まり、対人関係を安定させる働きも期待できるでしょう。
オキシトシンが不足するとどんな病気になりやすい?

オキシトシンが不足すると、心と身体の不調につながる可能性があります。ここでは、どのような病気があるのかを紹介します。
うつ病
オキシトシンは、安心感や信頼感に関わるホルモンで、気分の落ち込みや意欲低下といったうつ症状との関連が示唆されています。ただし、うつ病はオキシトシン不足だけで起こるものではなく、ストレスや環境の変化などさまざまな要因が複合的に関与します。
気分の落ち込みが長く続く、なにも楽しめない状態が続くなどの場合は、心療内科や精神科への受診を検討しましょう。休養や心理療法、抗うつ薬などの治療により、症状の緩和が期待できます。
産後うつ
産後うつは、ホルモンバランスの変動や生活環境の変化により発症する出産後のうつ病です。睡眠不足や育児ストレス、社会的孤立などが重なることも要因となっています。そして、妊娠中の血中オキシトシン濃度が低いと、産後うつのリスクが高いことも知られているのです。
「赤ちゃんがかわいいと思えない」「消えてしまいたい」といった気持ちがある場合は、早めに産婦人科や心療内科、精神科に相談することが大切です。
自律神経失調症
オキシトシンはストレスの緩和に関与するとされているため、不足すると自律神経のバランスが乱れる可能性もあります。自律神経は体内のあらゆる機能に関わっているため、バランスが乱れると、動悸やめまい、倦怠感、不眠などさまざまな不調が現れます。
検査で異常がないにも関わらず、このような不調が続く場合、自律神経が乱れている可能性もあります。自律神経失調症の原因には、ストレスのほかにも生活習慣の乱れが影響していることがあり、ストレス対策や生活の見直しにより症状の緩和が期待できます。ただし、つらい症状が続くときには1人で抱え込まず、内科を受診なさってください。

