乳がんになりやすい方にはいくつかの特徴があります。代表的な危険因子を医師が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「乳がんのしこりがわからない」場合の確認方法はご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
西田 陽登(医師)
大分大学医学部卒業。大分大学医学部附属病院にて初期研修終了後、病理診断の研鑽を始めると同時に病理の大学院へ進学。全身・全臓器の診断を行う傍ら、皮膚腫瘍についての研究で医学博士を取得。国内外での学会発表や論文作成を積極的に行い、大学での学生指導にも力を入れている。近年は腫瘍発生や腫瘍微小環境の分子病理メカニズムについての研究を行いながら、様々な臨床科の先生とのカンファレンスも行っている。診療科目は病理診断科、皮膚科、遺伝性疾患、腫瘍全般、一般内科。日本病理学会 病理専門医・指導医、分子病理専門医、評議員、日本臨床細胞学会細胞専門医、指導医。
乳がんのしこりの特徴

乳房にできるしこりには良性のものと悪性のものがあります。乳がんによるしこりには次のような典型的な特徴がみられます。
不規則な形をしている
乳がんのしこりは形がいびつで、触ったときに表面がゴツゴツしていたり、しこりの境界がはっきりしないことが多いとされています。丸く滑らかな良性のしこりとは異なり、左右不対称で不整形に感じられる場合があります。
硬い
触ったときに乳がんのしこりは大変硬いのも特徴です。しこりに弾力がなく石のように硬い感触がある場合、乳がんの可能性があります。一方、良性のしこりはやわらかい傾向があります。ただし、乳房は月経前に一時的に硬くなることもあるため、普段から自分の乳房の状態を知っておくことも大切です。
あまり動かない
乳がんのしこりは周囲の組織に癒着しやすく、指で押してもあまり動かないことも特徴です。良性のしこりは指で触るとコロコロとよく動くのに対し、乳がんのしこりは乳房内に固定されたような感触があります。鏡の前で腕を上げ下げしたときに、しこりのある部分の皮膚が引きつれる場合も注意が必要です。
乳がんにかかりやすい方

乳がんにはいくつか知られている危険因子があります。以下に該当する方は、そうでない方に比べて乳がんになるリスクが高いとされています。
40歳以上の方
加齢は乳がんの特に大きな危険因子です。乳がんの発症率は30代から増加し始めます。そのため、日本では40歳以上の女性に対して2年に1度の乳がん検診(マンモグラフィ)が推奨されています。若い世代でも乳がんになることはありますが、40代以降は特に注意が必要です。定期検診を受け、胸の異常があれば早めに受診するよう心がけましょう。
出産経験がない方
一般に、出産を経験していない女性の乳がんリスクは、出産経験のある女性より高いことがわかっています。日本人女性の場合、出産経験のない方の乳がん発症リスクは、ある方の約2.2倍との研究報告があります。
授乳歴がない方
授乳歴がない女性は、授乳経験のある女性に比べて乳がんの発症リスクが高いことが明らかになっています。また、授乳期間が長いほど乳がんリスクは低下することもわかっています。これは授乳によって乳腺の働きが抑えられ、排卵回数が減ることでエストロゲンへの曝露が減少するためと考えられます。
血縁者が乳がんにかかった方
母親、姉妹、娘など近い血縁のなかに乳がんになった方がいる女性は、そうでない女性に比べて約2倍以上乳がんになりやすいことがわかっています。家族に若年発症の乳がん患者さんが複数いるような場合は遺伝性乳がん(BRCA1/2遺伝子の変異によるもの)も疑われます。

