女優の蒼井優がヒロインの園田咲子を演じる連続ドラマ「Tシャツが乾くまで」(TBS系)の第4話が31日に放送され、バス事故がきっかけで夫が失踪した咲子と、同じ事故で妻を亡くした園田樹生(中島歩)が、それぞれ母親との確執を打ち明けた。これまで断片的に描かれてきた“毒親”が、2人だけでなく、失踪した咲子の夫・充(松山ケンイチ)とその事故で亡くなった樹生の妻・あずさ(夏帆)の行動にも影響を及ぼしていたと考察する視聴者もおり、今後の物語を読み解く重要な要素として注目を集めている。
義母に疎まれたことで充(松山ケンイチ)とあずさ(夏帆)が近づいた?
物語は、バス事故がきっかけで夫が失踪した咲子と、同じ事故で妻を亡くした樹生が、互いのパートナーの不倫を疑い、協力して2人の過去を洗い出し真相を探りながら、似た境遇や意外な共通点に共感を深め、次第に距離を縮めていくさまが描かれている。
この日の放送では、「配偶者を失ったかわいそうな人」として周囲から見られ続けることへの息苦しさを抱えた咲子と樹生が、子供の傷を打ち明け合い、そのなかで、2人とも母親との関係に苦しみ続けてきたことが明らかになった。
あずさの遺品から水族館のペアチケットが見つかり、充のお気に入りのジャケットからは花火大会のカップルシートのチケットが見つかった。樹生は水族館が、咲子は花火大会が苦手であり、あずさも充もそのことはよく知っていたため、2組のチケットは充とあずさの不倫を裏付ける状況証拠としか思えなかった。咲子と樹生は、仕方なくチケットを交換してそれぞれ使うことにした。
咲子は職場で、上司の大井田千鶴(臼田あさ美)から、充と別れて樹生と結ばれる選択肢もあると慰められ、後輩からは、まだつらいだろうから無理しないで頼ってほしいと気遣われ、夫を失ったことで特別扱いされることに居心地の悪さを覚えた。
休日、樹生は幼い息子の翔(久保田薫)を預けている茨城の実家に足を運び、1週間ぶりに息子と対面。家の中は、樹生の母・里実(長野里美)が買い与えたおもちゃが所狭しと広げられており、樹生は勝手に甘やかす母のやり方に不快感を露わにする。翔が、水族館に連れて行ってもらったと土産物のぬいぐるみを見せると、里実は人混みを避けて平日に行ったので、樹生は誘わなかったと説明した。その言葉に樹生は呆れるが、当の里実は、彼の幼少期の好物だったスパゲティーナポリタンを振る舞って上機嫌で、樹生から「俺と(妹の)実樹(齋藤飛鳥)の好きなもの全部把握してるよね」と言われ、「当たり前でしょ、親なんだから」とドヤ顔した。樹生は「でも、嫌いな物は知ろうとしないよね」と嫌味を放ったが、里実にはまったく刺さっていない様子だった。
そんななか、樹生からもらったチケットで水族館へ出かけた咲子から電話が入り、翔への土産物に何を選んだらいいか意見を求められた。翔の好みや、樹生の教育方針に反したものを贈るわけにいかないと頭を悩ませる咲子の優しさに、ささくれ立っていた樹生の心は癒された。
後日、いつものように、咲子と近所のコインランドリーで落ち合った樹生は、水族館のお土産のクッキーをつまみながら、水族館が苦手になった子供の頃の逸話を明かした。家族で水族館に出かけた樹生は、館内の薄暗いエリアで迷子になってしまい、片隅でうずくまってしくしく泣いていた。そんな息子を見つけた里実は鼻で笑いながら「あんたが来たいって言ったんじゃない。なんであんたが泣くのよ。じゃあ、来なきゃよかったじゃない」などと延々と責め、樹生は自分が悪いという気持ちに追い込まれたという。咲子は、親もチケットのように簡単に交換できたらいいのにと共感を示し、自分も親との折り合いが悪く、それがきっかけで充と意気投合し、苦手な人の話で盛り上がったとなれそめを語った。その流れで、咲子がトマトソースやナポリタンは好きだが生のトマトだけが苦手だと知った樹生は思わず「ああ、良かった」と安堵。「何がですか?」と尋ねられたが、「いいや、別に」と答えをはぐらかした。
あずさが亡くなった後の手続きや片付けが落ち着き、ようやく翔を実家から連れ帰ってまた一緒に暮らす準備が整った樹生は、少し元気を取り戻し、以前と同じように仕事に打ち込んでいた。しかし、同僚や後輩は、無理せずに心身ともに休息をとったほうがいいと心配。翌日の土曜日、咲子からもらったチケットで翔と花火大会に行くことになっていたが、里実の“嫌がらせ”で先に旅行に連れ去られてしまった。困った樹生は、咲子にほかにチケットを譲る相手はいないかとメッセージを送る。すると咲子は、意を決して自分が一緒に行ってもいいかと返信。樹生は、思いがけない言葉に戸惑いつつ「はい」と返した。
花火大会当日。会場に向かう道は浴衣姿の見物客でごった返し、咲子は過去の花火大会の嫌な思い出がフラッシュバックしてその場でうずくまってしまい、動けなくなる。後から来た樹生が見つけて、道沿いのベンチに座らせて落ち着かせる。苦手を克服するチャンスだと必死に自分を奮い立たせようとする咲子を見かねた樹生は、事前に調べてあった人けのない立体駐車場の上層階へ案内。会場からは少し離れていたが、打ち上がった花火がビル越しによく見える場所だった。
缶ビールを用意していた咲子は、花火が上がるのを待つ間、樹生と乾杯。互いに夫と妻を失ってから、楽しむことに抵抗があって自然と酒を飲まなくなっていたと述べた。不謹慎ではないかと我に返る咲子に、樹生は、ずっとメソメソ泣いているのが喪に服すことなのかと疑問を呈した。咲子は、かつて妻に先立たれ激しく落ち込んでいた50代の男性上司が、半年後に新しい交際相手をみつけて急に明るさを取り戻したことがあり、周囲にはそんな上司に幻滅する人が少なくなかったという経験談を語る。「不幸な人が、ずっと不幸でいてくれないと困ることでもあるんですかね」とぼやくと、樹生は立ち直ったきっかけが恋愛だったからではないかと推測。咲子が「じゃあ、私は…私たちはいつまでかわいそうでいたら、幸せになっていいんですかね?」と不満をもらし、樹生が「それは…」と言いかけた時、1発目の花火が打ち上がり、久しぶりの大輪の花火にはしゃぐ咲子の歓声に、彼の答えはかき消されてしまう。充が自分以外にこんなきれいなものを一緒に見たいと思う相手がいたことを思い知らされた咲子は、同時に、すぐ横に同じくらい「かわいそう」な樹生がいてくれて良かったとも感じていた。
帰り道で咲子は、花火大会のトラウマについて打ち明ける。高校生の時、当時交際していた男子を誘って花火大会に出かけた咲子は、会場に向かう人混みの中で痴漢に遭った。怖くて声をあげることもできず、1人苦しむ咲子の様子に彼氏は気づかず、少し開けたところで痴漢が去り、ようやく半泣きで彼に伝えたところ、なぜすぐに言わないのかと怒られた。泣きながら1人で帰宅しようとして怖くなり、動けなくなったところを警備の人に助けられ、親まで呼び出されて散々だったと振り返った。「怖かったですね」と寄り添う樹生の言葉に咲子は、彼氏にもそう言ってもらいたかっただけだと述べ、異常に過保護な母親が、彼氏が咲子を無理やり連れて出したと決めつけて相手の家まで押しかけたと、うんざりした様子で話した。
咲子と樹生の母の“毒親”ぶりはこれまでもそれとなく示唆されていたが、2人の口から明言されたのは今回が初めて。また過去の放送で、里実が孤児院出身のあずさを見下すような発言をしていたり、咲子の母親が早く充をことを忘れろという留守番電話をスマホに残し、その内容を聞いた咲子が絶叫して取り乱す場面もあった。里実とあずさ、充と咲子の母親との関係も気になるところだ。ちなみに咲子の母親はまだ劇中に姿を見せておらず、その存在自体が謎だ。
もし充とあずさが、それぞれ配偶者の家庭に居場所のなさや息苦しさを感じていたとすれば、同じような境遇に置かれた者同士として共感し、距離を縮めた可能性もある。今回明かされた2人の“毒親”エピソードは、咲子と樹生だけでなく、充とあずさが接近した理由を読み解く重要な伏線とも考えられる。
SNSには、
「なかなかに親がクローズアップ」
「まーた物で子供釣って」
「樹生ママ、毒親すぎる…」
「こんな嫌な親になんかなるべく子供預けたくない」
「樹生の母親、マッッッッヂできつい」
「過保護なのか、こっちの親は」
「咲子の親も毒親みたい。後から出るんだろうな」
「何であんなこと言えるの? どっちの母も最悪!」
など、咲子と樹生に共感し、2人の母親に嫌悪感を抱く視聴者が続出。
また、
「そりゃ水族館嫌いになるわ。トラウマにならない方が無理がある」
「傷ついたのにさらに傷つけられた、2人の過去がリンクした」
「露骨に嫌な親でやばい、絶対あずさ義母にいろいろ言われてキツかったろ」
「毒親育ち同士が結婚しても課題多すぎて結局破綻する気がする」
「樹生母の性格が気になる。絶対、あずさのこと嫌いだったろう。多分、咲子の母もそう。充じゃなくても、受け入れないと思う。その境遇って、接近する理由にならんか?」
というように、母親の存在が2組の夫婦の関係に影を落としたのではないかと考察する人も散見された。
「Tシャツが乾くまで」とは?
「silent」「いちばんすきな花」(23年)「海のはじまり」(24年、いずれもフジテレビ系)などの脚本を手がけた生方美久氏によるオリジナルストーリーで、愛する夫と幸せな結婚生活を送っていた主人公・咲子(蒼井)が、ある夏の日に別の夫婦とともにある事故に巻き込まれたことで、当たり前に続くと思っていた日常が崩れ去り、愛する人の“第3金曜日の秘密”が暴かれていくさまを描く。

