友人に諭される
その翌日、女友達の麻理子さん(仮名・32歳)とたまたま食事に行く約束をしていた千聖さんは、その一連の出来事を話して愚痴を聞いてもらったそう。「そしたら麻理子に『確かにそのトレーナーさんの態度や言い方も良くないと思うけど、千聖って本当にキックボクシングを習いたいの? 本格的なミット打ちや、蹴りを受けたりしたかったの? キックボクシング風のエクササイズを受けて、意識高い系の生活を送ることで自己肯定感を上げたかっただけじゃないの?』と言われて、思わずハッとしてしまったんですよ」
まさにその通りで「場違いなところに足を踏み入れたのは私だ」と千聖さんは激しく反省しました。
退会の電話を代行してもらい……
「麻理子には『だったら普通にスポーツクラブに入って、ボクササイズや格闘系エクササイズを受けたらいいよ。その本格的なキックボクシングジムはすぐに退会しないと』と言われました。ですが、まだ2回しかレッスン受けていないのに速攻でへこたれて辞めますって言うのが恥ずかしすぎるし、あのキツいトレーナーさんにまた何か傷つくことを言われそうで怖くて。電話するのを躊躇していたら、『あーもうイライラするな! 分かったよ私が言ってあげる!』と麻理子がジムに電話してくれたんですよ」
麻理子さんはテキパキと退会の旨を伝えると「いやこのまま退会でお願いします。いや、いいです! 申し訳ないですがトレーニングシューズは取りに行けないので処分してください」と千聖さんが二度とジムに行かなくていいように話を終わらせてくれたそう。「本当に助かりましたが、31歳にもなって習い事が嫌になった尻拭いを友達にしてもらうなんて……本当に情けないですよね。もちろんその日の食事代は私が持ちました」とため息をつく千聖さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop

