悪性リンパ腫の治療にはどのような選択肢があるのでしょうか。化学療法や放射線療法などを医師が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「悪性リンパ腫の完治期間」は?なりやすい人の特徴や症状・再発のサインも医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
悪性リンパ腫とは
悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化する病気です。これは、免疫システムを構成するリンパ系組織に異常が生じ、リンパ球が過剰に増殖することによって発症します。悪性リンパ腫は大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分けられ、後者はさらにB細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫・NK細胞リンパ腫に分類されます。悪性リンパ腫は100種類以上の病型があり、進行の速さによっても分類されます。
毎年10万人に約20人が罹患するとされ、血液がんのなかでも頻度の高い病気です。原因の多くは不明ですが、自己免疫疾患や自己免疫疾患の治療薬、ヘリコバクター・ピロリ菌などの感染症が発症に関与する場合があります。ウイルスや化学物質への暴露も一因となる場合があります。
悪性リンパ腫の治療
悪性リンパ腫の治療には複数の治療法があり、患者さんの状態、希望やライフスタイルなどに合わせた治療法が選択されます。
各治療法を以下に解説します。
化学療法
化学療法は、がんの進行を抑え、がんによる身体症状の緩和を目的としています。使用される薬剤には、抗がん剤や分子標的薬があり、それぞれの組み合わせはリンパ腫の種類や患者さんの状態に応じて異なります。
ホジキンリンパ腫の初回治療には、4種類の抗がん剤を組み合わせるABVD療法や抗体薬物複合体を併用するA-AVD療法が用いられます。
非ホジキンリンパ腫の初回治療には、3種類の抗がん剤とステロイドを併用するCHOP療法、さらに抗CD20モノクローナル抗体を加えたR-CHOP療法があります。加えて、抗CD79b抗体薬物複合体を併用するPola-R-CHP療法やBR療法も使用されます。
再発時は、初回治療とは異なる抗がん剤の組み合わせを用いることが多いようです。
治療により発現する副作用は薬剤によって異なるため、治療計画の策定には専門の医療スタッフによる評価が欠かせません。
放射線療法
放射線療法は、細胞のDNAにダメージを与えることでがん細胞を攻撃し、病巣を縮小または消滅させます。リンパ腫が限られた範囲に存在する場合、放射線療法単独で治療が可能なこともあります。
また、放射線療法はがんの根治を目指すだけでなく、一時的に症状を緩和し苦痛を和らげる目的でも使用されます。さらに、造血幹細胞移植の前処置として放射線を用いることもあり、移植後の治療効果を高めることが期待されます。
造幹細胞移植
造幹細胞移植は、骨髄などから造血幹細胞を取り出し移植する方法です。主に自家移植と同種移植の2種類があります。
自家移植では、患者さんに白血球を増やす薬を投与した後、自身の造血幹細胞を事前に採取し冷凍保存します。大量化学療法や全身放射線治療後に、保存した幹細胞を移植し、骨髄機能を回復させます。
同種移植は、ドナーから造血幹細胞を提供してもらう方法です。
造幹細胞移植は、標準的な治療で再発するリスクが高い患者さんに対して有効とされています。
経過観察
悪性リンパ腫のなかでも、進行がゆっくりしている低悪性度のリンパ腫の場合、治療を行わずに経過観察が選択されることがあります。リンパ腫細胞の量が少なく、症状がない場合に経過観察が選択されます。
定期的な診察を継続し、病期の進行や新たな症状の出現を確認します。治療のタイミングは、病気の進行や症状の発現に応じて決定されます。

