おばさんの正論におじさん撃沈
しかし女性の説教はそれで終わらず「店員さんに怒鳴るなんて最低よ。『教えてください、お願いします』でしょ? あと後ろ見なさい。みんな待っているの!」そう言って後ろの列を指差しました。すると並んでいた客たちの何人かが、無言でうなずいたそう。
完全に孤立した男性は顔を赤くしながら「二度と来るかよ、こんな店」と吐き捨てるように言うと、商品の入った買い物かごをその場に残したまま、逃げるように店を後にしました。
「するとおばさんは何事もなかったように『最近、怒鳴れば誰かがやってくれるって人多いのよねぇ』と私たちに笑顔を向けてくれて。その瞬間、張り詰めていた空気が一気に和らぎ、店員さんまで思わず吹き出していたんですよね」
麻里子さんも思わず笑ってしまったそう。
私たちもいつか“分からない側”になる
確かに、店員や周囲の客に当たり散らす男性の態度は褒められたものではありません。しかし一方で、セルフレジやタッチパネル注文など、新しい仕組みに戸惑う人が少なくないのも事実でしょう。
「できない」と感じることは「恥ずかしい」という感情につながります。そしてその恥ずかしさが、時として怒りや攻撃的な態度として表れてしまうこともあるんじゃないでしょうか?今回の男性も、本当は操作方法が分からず不安だっただけなのかもしれません。
だからこそ社会全体としては、「できない人」を切り捨てるのではなく、誰もが利用しやすい環境づくりを考えていく必要があるでしょう。
便利さを追求する一方で、「分からない人は置いていく」という空気が広がれば、それは少し怖い社会だと感じてしまいます。なぜなら、私たちも数十年後には新しい技術についていけず戸惑う側になる可能性があるからです。
その時、自分がどう扱われたいのか?
今回の出来事は、迷惑行為への苦言だけでなく、そんなことも考えさせられる一幕だったのかもしれません。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop

