「クッシング症候群」を発症すると「余命」に影響を与える?気を付けたい合併症も解説!

「クッシング症候群」を発症すると「余命」に影響を与える?気を付けたい合併症も解説!

クッシング症候群は、コルチゾールというホルモンの作用が過剰になることで起こる病気です。顔が丸くなる、体幹に脂肪がつきやすい、血圧や血糖が上がる、筋力が落ちる、皮膚が薄くなるなど、さまざまな症状が出ることがあります。

「余命に関わる病気なのか」と不安になる方もいますが、予後は原因、発見の時期、治療の効果、合併症の有無によって変わります。この記事では、クッシング症候群の余命や予後、治療後の経過について解説します。

上田 莉子

監修医師:
上田 莉子(医師)

関西医科大学卒業。滋賀医科大学医学部付属病院研修医修了。滋賀医科大学医学部付属病院糖尿病内分泌内科専修医、 京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科医員、関西医科大学付属病院糖尿病科病院助教などを経て現職。日本糖尿病学会専門医、 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医、内科臨床研修指導医

クッシング症候群と予後の関係

クッシング症候群と予後の関係

クッシング症候群は余命に影響しますか?

クッシング症候群は、治療せずに高コルチゾール状態が続くと、余命に影響する可能性があります。

コルチゾールは本来、血圧や血糖、免疫、身体のストレス反応などに関わる大切なホルモンです。しかし、過剰な状態が長く続くと、高血圧、糖尿病、脂質異常症、骨粗しょう症、感染症、血栓症などのリスクが高まります。これらの合併症が重なることで、心筋梗塞や脳卒中、重い感染症などにつながることがあります。

治療をしないとどのようなリスクがありますか?

治療をしないまま高コルチゾール状態が続くと、全身に負担がかかります。

代表的なリスクは、高血圧や糖尿病の悪化です。血管への負担が増えることで、心臓や脳の病気につながる可能性があります。また、筋力低下や骨粗しょう症が進むと、転倒や骨折のリスクも高まります。

コルチゾールには免疫を抑える作用もあるため、感染症にかかりやすくなったり、重症化しやすくなったりすることがあります。さらに、血液が固まりやすくなり、深部静脈血栓症や肺塞栓症などに注意が必要になる場合もあります。

精神面では、気分の落ち込み、不眠、不安、集中力の低下などがみられることがあります。見た目の変化だけの病気ではなく、全身と生活の質に影響する病気と考えることが大切です。

治療を受けると予後はどう変わりますか?

治療によってコルチゾールの過剰が改善すると、予後はよくなる可能性があります。

治療の基本は、原因に応じて過剰なコルチゾールを正常化することです。下垂体腺腫が原因のクッシング病では脳の手術が検討され、副腎腫瘍が原因の場合は副腎の手術が行われることがあります。手術が難しい場合や、手術後もコルチゾールが高い場合には、薬物療法や放射線治療が選択されることもあります。

コルチゾールが過剰な状態から通常の分泌量まで下がると、血圧、血糖、体重、筋力、皮膚症状などが少しずつ改善することがあります。ただし、すべてがすぐもとに戻るわけではありません。骨粗しょう症や糖尿病、高血圧などは治療後も残ることがあり、継続した管理が必要です。

予後に関わる合併症と日常の備え

予後に関わる合併症と日常の備え

どのような合併症に気を付ければよいですか?

注意したい合併症には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、骨粗しょう症、感染症、血栓症、心血管疾患などがあります。

高血圧や糖尿病は、クッシング症候群でよくみられる合併症です。放置すると、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病などにつながる可能性があります。骨粗しょう症は、背骨や大腿骨などの骨折リスクを高めます。

また、免疫の働きが低下しやすくなるため、発熱、強いだるさ、咳、皮膚の感染、尿路感染などにも注意が必要です。血栓症は、片脚の腫れや痛み、急な息切れ、胸の痛みなどがサインになることがあります。

気になる症状がある場合は、自己判断で様子をみすぎず、主治医に相談しましょう。

合併症を防ぐために大切なことは何か教えてください

合併症を防ぐためには、原因となる高コルチゾール状態を治療することに加えて、血圧、血糖、脂質、骨密度などを定期的に確認することが大切です。

治療中は、検査値だけでなく、体重の変化、筋力、むくみ、血圧、月経の変化、気分の落ち込み、不眠なども確認します。生活面では、食事、運動、禁煙、過度な飲酒を避けることなども大切です。ただし、筋力低下や骨粗しょう症がある場合、急に強い運動を始めると転倒や骨折につながることがあります。運動は主治医と相談しながら行いましょう。

感染症や血栓症のサインを知っておくことも重要です。発熱が続く、息切れが急に出る、片脚が腫れる、胸が痛いなどの症状がある場合は、早めに受診してください。

治療後はどのような経過をたどりますか?

治療後の経過は、原因や治療法によって異なります。

手術で原因病変を取り除けた場合でも、身体がすぐにもとの状態に戻るわけではありません。長く高コルチゾール状態が続いていた場合、治療後に副腎機能が一時的または永続的に低下し、年単位または生涯ステロイド補充が必要になることがあります。補充量は、体調や検査結果を見ながら調整されます。場合によってはストレスの程度によって薬の量の調整が必要な場合があります。

体重や顔つき、筋力、血糖、血圧などは、数ヶ月から年単位で少しずつ変化することがあります。一方で、骨粗しょう症や糖尿病、高血圧などは治療後も管理が必要な場合があります。

また、原因が下垂体腫瘍や副腎腫瘍の場合、手術を行った後も、再発がないかを確認するために、ホルモン検査や画像検査を続けることがあります。治療が終わったら完了ではなく、その後のフォローまで含めて治療と考えるとよいでしょう。

配信元: Medical DOC

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