心筋梗塞の再発を防ぐために、食生活や運動習慣などのポイントを医師が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「心筋梗塞の退院後の生活」で”再発しやすい行動”はご存じですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
心筋梗塞|退院後の生活とは

心筋梗塞の退院後は、入院中とは異なる形で回復と再発予防に取り組んでいく時期です。まずは、退院後の生活の全体像を確認しましょう。
退院後の身体の状態
退院直後は、カテーテル治療などで心臓の血流が再開していても、傷んだ心筋がすぐにもとどおりになるわけではありません。さらに、入院中の安静によって、体力や筋力が落ちた状態になっていることもあります。そのため、退院してすぐに発症前と同じように動けるとは限らず、少し動いただけでも疲れやすさや息切れを感じることがあります。
退院後の回復の目安
心筋梗塞後の回復の速さには個人差がありますが、一般的には退院後数週間から数ヶ月かけて、少しずつ体力や心機能が戻っていきます。入院中に前期回復期の心臓リハビリテーションを行った後は、退院後も外来でのリハビリテーションを続けながら、3〜6ヶ月程度を目安に社会生活への復帰を目指します。
日常生活に戻るまでの流れ
退院後しばらくは、自宅での洗面や食事、軽い家事など身の回りのことから始めて、徐々に活動範囲を広げていきます。はじめからもとの生活に戻そうとすると、心臓や身体に負担がかかりやすくなります。退院後1週間〜1ヶ月後の外来受診時などに、診察や必要な検査をもとに、どの程度の運動が安全に行えるかが評価されます。その結果に基づいて活動量の目安が示され、適切な運動や生活指導を受けながら、仕事や趣味、スポーツなどへ段階的に復帰していく流れです。
心筋梗塞の再発を防ぐ生活習慣

心筋梗塞の再発予防には、毎日の生活習慣を見直して続けていくことが欠かせません。ここでは、再発予防のために意識したいポイントを解説します。
食生活の見直し
再発予防においては、動脈硬化を進める高血圧や脂質異常症、糖尿病、肥満を食事でコントロールすることが欠かせません。特に、減塩と脂質の見直しは基本です。食塩は1日6g未満を目標にし、漬物や汁物、加工食品を控えましょう。脂質については、肉の脂身や乳製品に多い飽和脂肪酸を摂りすぎないようにし、青魚などの魚を取り入れた食事がすすめられます。さらに、マーガリンや洋菓子などに含まれるトランス脂肪酸、卵黄などからの過剰なコレステロール摂取も控えめにします。野菜やきのこ、海藻、玄米や麦飯などの未精製穀類を取り入れて、食物繊維をしっかり摂ることも大切です。
タバコとの付き合い方
喫煙は、心筋梗塞の再発に強く関わる危険因子であり、退院後は完全な禁煙が前提です。自分で吸わなくても、周囲の煙を吸い込む受動喫煙でもリスクは上がります。電子タバコや加熱式タバコも、心血管リスクを上げる可能性があるため避けるべきです。
体重管理と運動習慣
退院後は、適正体重の維持と内臓脂肪の減少を目標に、食事療法と運動療法を続けていきます。目安としてはBMI 25未満を意識し、急な減量ではなく、継続できる生活習慣として整えることが大切です。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動が中心です。1日30〜60分、週3〜5日、できれば毎日続けることがすすめられています。強さの目安は、楽すぎず、ややつらいと感じる程度です。

