たった1人の退職で会社が消える?2026年「従業員退職型」倒産が過去最多ペースで推移する現実

たった1人の退職で会社が消える?2026年「従業員退職型」倒産が過去最多ペースで推移する現実

2026年1〜7月における「従業員退職型」の倒産が、前年同期比で約12.2%増の83件に達し、過去最多のペースで推移していることが8月7日、帝国データバンクの調査で判明した。人手不足倒産の中でもキーマンの退職が直接・間接の要因となったケースは5年連続で増加しており、物価高やコスト増を価格転嫁できず賃上げ原資を確保できない中小企業を中心に、たった1人の離脱が致命傷となる「属人化の恐怖」が浮き彫りとなっている。同社によると、このペースが続けば、年間で初めて100件を超えた前年(124件)を大幅に更新することは確実な情勢だという。

業種別で見る「退職ドミノ」の悲劇

2026年の「従業員退職型」倒産を業種別に検証すると、最も件数が多いのは「サービス業」の22件で、全体の約26.5%を占めた。老人福祉施設や美容室など、人とサービスが直結する現場での発生が目立つ。

また、「建設業」は1~7月期として初めて20件の大台に乗った(20件)。現場の施工を仕切る熟練の職人や営業担当者が相次いで去り、事業運営そのものが不可能な状態に追い込まれるパターンが多い。これに加え、「運輸・通信業」(12件)でも貨物自動車運送などを筆頭に増加し、こちらも1~7月期として過去最高を記録している。

倒産の根底にあるのは、コスト高に苦しみ「賃上げ」ができない企業の経営体力不足だ。ある企業ではドライバーの賃上げを実施できず退職が続出。別の企業では中核メンバーの独立や退職をきっかけに人手不足が深刻化し、赤字転落の末に事業継続を断念したという事例が見られた。少数のキーマンに頼り切った組織は、誰か1人が辞めた瞬間に一気に崩壊へと向かう。

「自分が不可欠」という快感の裏

SNSでも、この構造的な脆さに対する悲鳴と危機感が噴出している。法人向けの業務委託・プロジェクト支援事業と個人向けの複業支援事業を展開するColor WiThの代表取締役、若色広大氏はXで次のようにつづった。

「大事なのは、誰が抜けても業務が回る仕組みを先に作ること。併走型の業務委託を入れて、属人化した業務を言語化し、仕組みとして残す。辞められて困る構造そのものをなくしておく。これが、退職ドミノを防ぐいちばんの備えです」

若色氏の指摘に対し、他のユーザーからも「まさにですね。『あの人に聞いて』で回る組織は、その人が抜けた瞬間に止まる。仕組みで残すことが最大の備えだと思います」と同調する声が相次いだ。

結局のところ、「あの人に聞いて」で現場が回っている状態は、美談でも何でもない。経営陣が属人化を放置した結果生じた「倒産予備軍」の兆候と言えるのかもしれない。

配信元: iza!

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