職場に入ってきた新人が、電話対応を避ける姿を見て、私は最初いら立ちを感じていました。しかし、注意する前に理由を聞いてみると、そこには私が考えたこともなかった不安があるとわかったのです。
電話を取らない新人
私が働く事務所では、外部からの問い合わせや取引先からの連絡が電話で入ることがよくあります。電話が鳴ったときは、手が空いている人が対応することになっていました。
ところが、新しく入った新人は、電話が鳴ってもなかなか受話器に手を伸ばしません。周囲の様子をうかがい、誰かが出るのを待っているように見えました。
最初のうちは「まだ慣れていないから仕方がない」と思っていました。しかし、何度教えても状況は変わりません。忙しいときにも私ばかりが電話を取ることになり、次第に「仕事なのだから、もう少し積極的に出てほしい」とモヤモヤするようになりました。
理由を聞いてみると
ある日、また新人が電話に出なかったため、私は注意しようとしました。しかし、頭ごなしに叱る前に、まず理由を聞いてみることにしました。
「電話に出るのが苦手なの?」と尋ねると、新人は少し困った表情で、「電話だと記録が残らないのが怖いんです。聞き間違えたり、後から言った、言わないになったりするのも不安で。チャットでよくないですか?」と答えました。
私はその言葉に驚きました。単に面倒だから避けているのだと思っていたからです。たしかにチャットやメールであれば、相手の名前や依頼内容を後から確認できます。電話に慣れている私にとっては当たり前のやりとりでも、新人にとっては、聞いた内容をその場で正確に理解して伝えることが大きな負担になっていたようでした。

