裏にあるのは万引きか…東野圭吾さん新作がフリマアプリに大量出品 知念実希人氏が問題提起

裏にあるのは万引きか…東野圭吾さん新作がフリマアプリに大量出品 知念実希人氏が問題提起

7月23日に亡くなった作家の東野圭吾さんによる小説「永遠の記憶」が5日、発売された。俳優の福山雅治主演でドラマ・映画化もされた「ガリレオ」シリーズの最新作、そして東野さんの遺作となった本作だが、フリマアプリにはすでに同書が多数出品されている。これを重く受け止めた医師で作家の知念実希人氏の発信をきっかけに、書店の存続について議論が交わされている。

知念氏は8日、自身のXで「それくらい東野先生が書店を大切にしていたからこそ、『永遠の記憶』をメルカリで売っている転売屋に、本当に腹が立ってしまいます 先生の想いを踏みにじらないで頂きたい」と怒りを滲ませて発言。同時に書店で購入するように呼びかけた。

現在の相場で利益は出るのか…裏にあるのは万引きか?

実際にフリマアプリでは、同書が2000~3000円台で出品されている。しかし、同書の価格は2310円(本体2100円+税)。送料は商品代に含まれることが多く、さらに出品手数料が引かれるため、「単なる転売」としては現在の相場では利益はあまり出ないとみられる。

こうした価格設定もあり、知念氏は「え、待って。これ単なる転売ですらない可能性あるの?確かに定価とほとんど変わらない価格で売ったら、利益なんてほぼ出ない」と疑問を投げかけた。続けて「もし万引きされた本が混ざっているなら、メルカリってもう事実上『闇市』みたいになってない?」と指摘し、「書店関係者の方、やっぱり万引きって今もかなり多いんでしょうか?」と質問した。

知念氏の質問に対し、書店員を名乗るユーザーから以下のようなリアルな声が届いている。

うちの店舗はすでに在庫数ズレていますね。そういうことです。

これらの出品すべてがそうとは言いませんが…残念ながら、既に盗んで買取に出そうとして捕まった事例が耳に入っています。

多いです メディア化された漫画や小説のシリーズが一冊ずつ在庫が合わない……なんてことぜんぜんありますね

こうした声を受けて、Xを更新した知念氏は「書店はもともと利益率が低く、そもそも置いている商品は書店ではなく出版社のものなので、本を1冊万引きされると、その損失を取り戻すためには、5冊以上の本を売る必要があります」と説明。続けて「万引きは単に『本を1冊盗む』だけではなく、その書店がこれから何冊も本を売って得るはずだった利益まで、一瞬で奪い、やがては潰してしまう 本を盗むということは、その本だけではなく、街の書店そのものを少しずつ盗んでいる行為です」と問題提起した。

実際に書店での万引き被害は年間約200億円といわれている。一方で、一般社団法人日本出版インフラセンターの統計によると、2025年度の全国の書店数は9993店となり、1998年度のピークから59%以上減少して初めて1万店を割り込んだというデータがある。「本が売れない」という悲鳴が聞かれるようになって久しいが、万引きが書店を廃業に追いやっているというのも事実だ。

書店を守る返本制度と利益率

また、知念氏は次のようにも説明している。

「日本の書店に並んでいる本の多くは、売れなければ出版社側へ返本できる仕組みになっています。つまり、普通に売れ残った本なら返品できる」

このように日本の出版業界には返本制度がある。返本制度のメリットは、書店が在庫リスクを負わずに多種多様な本を店頭に並べられる点にある。一方で、書店の利益率は約2割と低く抑えられており、大量の返品や裁断によるロスも長年問題視されている。

「本を1冊万引きされると、その損失を取り戻すためには5冊以上の本を売る必要がある」という知念氏の説明の通り、この利益率の低さこそが万引き被害を致命的にする理由だ。売れ残りなら返品できるが、盗まれた商品は返品できず、仕入れ値をそのまま書店が全額負担することになるからだ。

さらに議論は、リアル書店の存続を巡る消費者の行動にも広がりを見せている。ネット通販の普及により実店舗の売上減少が続くなか、X上ではトーハンが運営する「e-hon」のようにネットで注文しながら指定した書店へ利益を還元できるシステムの活用を呼びかける声も上がった。

万引き被害が後を絶たない一方で、地元の書店を支える新たな仕組みも試みられている。出版流通の課題と購買環境の変化が重なるなか、街の書店をどう残していくか、模索が続いている。

配信元: iza!

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