自衛隊員の年金制度
自衛隊員の国民年金
日本国内に居住する20歳以上60歳未満の方はすべて、国民年金に加入しなければなりません。
これは国家公務員である自衛隊員も例外ではないです。
一般的に、国民年金に加入した被保険者は次の3つに分類されます。

自衛隊員は国家公務員に分類されるため、第2号被保険者となります。
なお国民年金には、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の3種類の年金が含まれています。
老齢基礎年金はすべての人が老後に受け取れる年金、障害基礎年金は重い障害を負った場合に受け取れる年金、遺族基礎年金は被保険者が死亡した場合に遺族が受け取れる年金です。
自衛隊員の厚生年金
自衛隊員が年金制度に加入する場合、国民年金に加入すると同時に、厚生年金にも加入することになります。
一般的に厚生年金とは、主に公務員や会社員などの被雇用者を対象とした年金制度です。
・被保険者と制度の特徴
厚生年金の主な被保険者は、公務員や企業の正社員です。給与や勤務年数に比例した額が厚生年金保険料として天引きされ、それが退職後に年金として受け取れる基盤となります。
・基礎年金との関連
厚生年金に加入している人は、国民年金(基礎年金)と厚生年金の両方に加入している状態です。厚生年金は、すべての国民が対象となる国民年金に上乗せされる形で給付されます。
・将来の変動
厚生年金は、被雇用者の退職後の安定した生活をサポートするという重要な役割を持っています。
ただし、高齢化や経済の変動などの要因によって制度や給付額が将来的に変動する可能性があります。
自衛隊員の年金制度の注意点
自衛隊員(一般の隊員)の定年は50代後半へ
自衛隊員は、体力面や能力面を維持するために任期制や早期定年退職制を導入しています。
部隊の最前線で体力を必要とされる「任期制隊員(士)」とは異なる、「一般の隊員」と呼ばれる階級の自衛官(曹・幹部)の多くは、50代で定年を迎えます。
国民年金を満額受け取るためには、60歳まで保険料を支払う必要があるため、多くの自衛隊員は定年時のままでは満額を受け取れません。
【現在の自衛官(一般の隊員)の定年年齢(階級別)】

●国の定年引き上げ
この早期定年退職による年金の目減りや人手不足の課題に対し、国は自衛隊員の定年引き上げを段階的に進めています。
引き上げはすでに2020年から開始されており、2028年から2032年までにはさらに2歳引き上げる計画です。
定年が延長されれば、厚生年金の加入期間・給付額が増え、国民年金の未納期間も縮小・解消されるため、退職後に自ら国民年金保険料を支払うなどの負担が軽減されます。
ただし、2028年からの段階的引き上げの過渡期にいる隊員や、引き上げ後も60歳未満になりそうな隊員は、自身の定年年齢をしっかりと把握しておきましょう。
退職後の再就職や、自らの持ち出しによる国民年金の納付プランをあらかじめ設計しておく必要があります。
早期定年退職の不利益を補う「若年定年退職者給付金」
引き上げが進んでいるとはいえ、自衛隊員は65歳定年の一般の公務員よりも早く退職をするのは事実です。
早期の定年退職による所得や年金の目減りを補填するため、通常の退職金とは別に、「若年定年退職者給付金(若退金)」が国から給付されます。
原則、自衛隊員として20年以上勤続し、定年などにより退職した人を対象に、退職時の基本給の数か月分が給付される制度です。
2026年度から2028年度にかけて、給付水準が3段階で引き上げられることも決定しています。
死亡した場合
自衛隊員が死亡した場合は、国民年金に含まれる遺族基礎年金と、厚生年金に含まれる遺族厚生年金が遺族に給付されます。
●遺族基礎年金の概要
・受給要件
次の1から3のいずれかの要件を満たしている人が死亡したときに、遺族に遺族基礎年金が給付されます。
1. 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
2. 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
3. 老齢基礎年金の受給資格を満たした人が死亡したとき
・受給対象者
1. 子のある配偶者
2. 子
・年金額の計算方法
妻(配偶者)の場合:84万7,300円(基本額)+ 1人目および2人目の子は各24万3,800円(3人目の子からは各8万1,300円)
子のみの場合:84万7,300円(基本額)+ 2人目の子は24万3,800円(3人目の子からは各8万1,300円)
●遺族厚生年金の概要
国家公務員である自衛隊員は、以前は「遺族共済年金」が給付されていました。
しかし、2015年の「被用者の年金制度の一元化」により、現在は会社員と同じ「遺族厚生年金」が給付されています。
・受給要件
以下の4つの状況のいずれかに当てはまる場合、遺族へ遺族厚生年金が給付されます。
1. 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
2. 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
4. 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
※1・2の場合、死亡日の前日に保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の2/3以上あることが必要
・受給対象者
1. 子のある配偶者
2. 子(18歳になった年度の3月31日までの人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の人)
3. 子のない配偶者
4. 父母
5. 孫(18歳になった年度の3月31日までの人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の人)
6. 祖父母
死亡した人に生計を維持されていた1~6の遺族のうち、以下の優先順位で最も高い人が受け取ることができます。

(引用:日本年金機構)
・受給期間の特例
子のない30歳未満の妻は、受給期間は5年です。
父母または祖父母は、55歳以上である方に限り受け取れますが、受給開始は60歳からとなります。
・年金額と追加加算
原則、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4の額になります。
条件により、妻が受給する遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間に「中高齢寡婦加算」として63万5,500円(年額)が加算されます。
ほかにも、妻が特定の年齢や条件を満たす場合に加算される「経過的寡婦加算」もあります。

