胃には最後に食べた魚の痕跡も
肝臓のさらに後方には、小腸と大腸につながる長い管状の構造がありました。複雑に折り畳まれているわけではなく、比較的まっすぐで単純なつくりのようです。
これは肉食動物らしい特徴でもあります。一般に肉は植物より消化しやすいため、肉食性の爬虫類では草食動物ほど複雑な腸を必要としません。オーストロナガの消化管も、現代の魚食性爬虫類とよく似た構造だったといいます。
そして、その食生活を裏付ける決定的な証拠も残っていました。胃の中から、魚の鱗とみられる食物の残骸が見つかったのです。鋭い歯や細長い口から魚食性だと推測するだけでなく、実際に何を食べていたのかを、胃の内容物から確認できたことになります。
オーストロナガが暮らしたのは、魚や海洋爬虫類が行き交う、暖かく浅い海でした。同じ海には体長5メートルに達するノトサウルスのような大型捕食者も存在したといいます。そんな世界を、小さなオーストロナガは長い尾で泳ぎ、魚を追いかけていたのかもしれません。
骨格だけでなく、内臓、さらには最後に口にした食べ物まで残していた一体の化石。約2億4500万年前の爬虫類がどのように海へ適応し、どんな体で生きていたのか。その体の内側まで見せてくれる、極めて珍しい“タイムカプセル”となっています。
なお、この研究成果は2026年7月29日付の学術誌『Science Advances』に掲載されました。
参照
Science Advances「Highly aquatic marine stem archosaur with soft tissue preservation」
Natural History Museum Stuttgart「Spectacular discovery provides insight into the internal organs of a marine reptile」

