末期GISTの治療は分子標的薬が中心です。使用される薬剤の種類や、その他の治療法について医師が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『悪性腫瘍の一種「GISTの末期症状」はご存知ですか?治療法や緩和ケアについても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。
GISTの末期とは?

末期とは一般に病気がとても進行した最終段階を指し、がんの場合はステージIV(遠隔転移がある状態)や治療に反応せず余命が限られてきた状態を指します。GISTで末期とは、腫瘍がほかの臓器へ転移したり再発を繰り返して外科手術で取りきれない状況をいいます。主に肝臓や腹膜などへの転移が多くみられ、この段階になると病気を完全に治すことは難しくなります。しかし、GISTの場合は分子標的薬の登場により末期であっても長期間病状をコントロールしながら生活できるケースが増えており、治療とケアの両立によって生活の質(QOL)を保つ努力が重要です。
末期GISTの治療法

進行・末期のGISTに対する治療の目的は、症状を和らげながら病状の進行をできるだけ長く抑えることにあります。現状の治療では残念ながら根治は難しいものの、有効な治療を継続することで延命が可能となっています。
末期の治療法の中心は薬物治療です。腫瘍がすでに広範囲に転移して手術できない場合は、まず薬物療法による全身治療が行われます。薬によって腫瘍が縮小・制御できれば、その後にあらためて手術で一部の腫瘍を切除することが検討される場合もあります。また症状緩和や合併症予防のため、薬物療法以外の治療(外科的処置や放射線治療など)を組み合わせることもあります。
薬物治療
GISTの治療では、従来の抗がん剤より分子標的薬が有効です。分子標的薬とはがん細胞の特定の分子を狙って攻撃する新しいタイプの薬で、これによりGISTの治療成績は飛躍的に向上しました。
2000年代に登場したイマチニブ(グリベック)はGISTに劇的な効果を示し、現在はスニチニブ(スーテント)、レゴラフェニブ(スチバーガ)、ピミテスピブ(ジェセリ)と合計4種類の薬剤が順次使用可能です。これらの薬により半数以上の患者さんが5年以上生存できるようになりました。一方で時間とともに薬が効かなくなることもあるため、効果が落ちれば別の薬に切り替えるか、新薬の治験への参加を検討します。副作用はさまざまありますが、医師と相談しながら対処して治療を継続することが重要です。
その他の治療法
末期のGISTでは薬物療法が主ですが、状況に応じて外科的処置や放射線治療などが行われることもあります。例えば、腫瘍が大きく出血が続く場合には緊急手術で出血源の腫瘍を切除したり、内視鏡や血管塞栓術で止血を図ることがあります。
また、放射線治療はGISTには根治目的ではあまり行われませんが、再発や転移が少数の場合にピンポイント照射で腫瘍を縮小させることも検討されます。転移が多い場合には、緩和的放射線治療によって腫瘍からの出血や痛みを和らげることができます。これら外科的・放射線的治療は根治目的ではなく症状緩和や合併症防止が主な目的ですが、薬物療法と組み合わせることで患者さんの負担を減らしつつ病状コントロールを図ります。

