父が深夜に自宅を出てしまった夜、私たち家族は、認知症のある人を見守る難しさを痛感しました。大きな事故には至らなかったものの、交通量のある道路の近くで父を見つけたときの恐怖は、今でも忘れられません。この出来事をきっかけに、家族だけでなく、地域とも協力して父を見守る体制を整えることになりました。
認知症の父を自宅で介護する日々
父が認知症と診断されてから、私たちは自宅で介護を続けていました。日々の生活では家族が父の様子を気にかけていましたが、常にそばについていることはできません。
特に夜間は家族も眠っているため、父が目を覚まして動き出しても、すぐには気付けないことがありました。それでも当時は、父がひとりで深夜の外へ出てしまうとは考えていなかったのです。
深夜に父がいないことに気付き…
ある深夜、玄関の鍵を開けるような物音で目を覚ましました。不安を感じて父の様子を確認すると、家の中にいるはずの父の姿が見当たりません。「まさか、外に出てしまったのでは」と慌てて家を飛び出し、近所を探し回りました。すると、家から歩いて5分ほどの場所にあるコンビニの前で、途方に暮れたように立っている父を見つけたのです。
父がいたのは、交通量の多い道路沿いでした。車道に出ていたら、事故に遭っていた可能性もありました。その光景を見た瞬間、血の気が引くような思いがしました。すぐに警察へ連絡し、父を保護してもらいました。警察官は、混乱している父に丁寧に対応してくださいました。
その間も父は、何度も「帰る」と繰り返していました。自宅を出てしまった父が、どこを「帰る場所」だと思っていたのかはわかりません。その姿を見ていると、胸が締め付けられるようでした。

