心臓発作が疑われる症状が出たとき、どのように対応すべきか受診の目安と救急対応を医師が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『”女性”に多い「心臓発作の前兆」は何かご存じですか?医師が起きる割合や対応も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
心臓発作とは

心臓発作という言葉は広く使われますが、医学的に単一の病名ではありません。ここでは、心臓発作の定義や予後、経過について解説します。
心臓発作の定義
医学的に、心臓発作という単一の病名があるわけではありません。一般には、心臓の血管が急に詰まって起こる急性冠症候群や、それに伴う致死性不整脈、心臓突然死などを含めた状態を指して使われます。急性冠症候群には、急性心筋梗塞や不安定狭心症が含まれます。心臓突然死は、心臓の異常による急な症状が出てから24時間以内、あるいは1時間以内に死亡する状態と定義されており、きわめて緊急性が高い病態です。心臓発作という言葉は幅広く使われますが、いずれも早急な対応が必要な状態として理解しておくことが大切です。
心臓発作の予後と経過
心臓発作の予後は、発症してからどれだけ早く適切な治療を受けられるかで大きく変わります。急性心筋梗塞は、詰まった血管の血流を再開させる治療や、必要に応じた除細動が早く行われるほど、命が助かる可能性が高まります。急性心筋梗塞の院内死亡率は約7%とされており、決して軽くみてよい病気ではありません。また、心原性の心停止が起きた場合でも、その場にいた方が異変に気付き、AEDの使用や心肺蘇生を速やかに始めることで、生存や社会復帰につながる可能性が高まります。発症直後は不整脈や心不全などに注意しながら治療が進められ、状態が安定した後は再発予防のための薬物治療や生活管理が続きます。
心臓発作がおきる女性の割合
急性冠症候群を発症する患者さんのうち、女性が占める割合は約29%です。心室細動や無脈性心室頻拍による心停止でも、女性は約29%を占めます。発症数だけをみると男性の方が多いものの、女性の心臓発作が珍しいわけではありません。さらに、心臓のポンプ機能が急に低下する急性心不全は女性が約48%を占め、大動脈が裂ける急性大動脈解離A型は女性が過半数とされています。このように、重い循環器の病気は女性にも少なくなく、女性だから起こりにくいとはいえません。
心臓発作が疑われる場合の対応

心臓発作のサインには男女で違いがみられることがあります。ここでは、一般的な症状とあわせて、女性で気付きにくい前兆について解説します。
すぐに医療機関を受診すべき症状
突然の強い胸の痛みや、冷汗を伴う胸の圧迫感、原因不明の急な息切れや吐き気がある場合は、すぐに病院で診てもらう必要があります。特に、胸の痛みが20分以上続くときや、安静にしていても症状が出るとき、ごく軽い動作でもつらさが出るときは、急性心筋梗塞が進行している可能性があります。女性は、これまでに経験したことのない異常な疲労感や、急に出てきた背中や顎の痛みが心臓発作のサインであることもあります。
救急受診が必要なケース
急性冠症候群が疑われるような強い症状が出た場合は、自分で病院へ向かおうとせず、すぐに119番通報して救急車を呼ぶことが必要です。我慢して様子をみることで、治療の開始が遅れ、心筋の障害が広がるおそれがあります。また、ニトログリセリンを処方されている方が薬を使っても症状が治まらない場合や、意識を失って倒れた場合も、ためらわず救急要請が必要です。
発作が生じたときの行動
周囲の方が心臓発作で倒れた場合は、まず119番通報を行い、反応や呼吸を確認します。呼吸がない、または普段どおりでないと判断したら、すぐに胸骨圧迫を始め、近くにAEDがあれば使用します。若い女性が倒れた場合、衣服を開くことへのためらいなどから、AEDの使用や心肺蘇生が遅れやすいことが指摘されています。しかし、命を救う場面では性別に関係なく対応することが必要です。ためらわずAEDを使うこと、そして胸骨圧迫を続けることが重要です。

