多発性骨髄腫の治療にはどのような方法があるのか、薬物療法や自家造血幹細胞移植など4つの治療法を医師が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「高齢者に多い多発性骨髄腫」における”4つの治療法”とは? 6つの症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
滋賀医科大学医学部卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科
多発性骨髄腫とは?
多発性骨髄腫とは、難治性血液がんの1つです。本来であれば、体内に異物が侵入した際にリンパ球であるB細胞が分化し、形質細胞ができます。
形質細胞は抗体を作り異物を除去しますが、多発性骨髄腫の場合、がん化した形質細胞が抗体の役割を果たさないMたんぱくを作り続けるのが特徴です。
がん化した骨髄腫細胞やMタンパクが血液内や臓器に蓄積していくことで、身体にさまざまな症状が起こります。
多発性骨髄腫の治療方法
多発性骨髄腫は薬物療法、放射線治療、維持療法などさまざまな治療法があります。予備知識として役立ててください。
薬物療法
薬物療法は、症状の緩和やがんの進行を抑制することが目的です。細胞障害性抗がん剤や分子標的薬、ステロイド薬を組み合わせて実施します。
細胞障害性抗がん剤は、主にがん細胞の成長や増殖を阻害する薬で、メルファランが該当します。
分子標的薬はがん細胞だけをピンポイントに攻撃するのが特徴です。抗がん剤治療といえば点滴のイメージがありますが、分子標的薬の1つであるボルテゾミブは投与方法に皮下注射もあるため、短時間で投与を終えられるのがメリットです。
抗がん剤と併用することもあるステロイド薬は、炎症や免疫を抑制する効果があります。免疫を抑制することで感染しやすくなるため、マスクの着用や手洗いうがいなど感染予防に努めることが大切です。
ほかにも殺腫瘍作用のある免疫調整薬のレナリミドや、抗体薬であるダラツムママブなど数多くの治療薬が存在します。
自家造血幹細胞移植
自家造血幹細胞移植とは、患者さんの造血幹細胞を採取して冷凍保存したものを高用量の抗がん剤を投与した後に解凍し、再び患者さんに投与する治療法です。
自分の造血幹細胞を移植するため、早期に免疫力の回復が期待できます。しかし造血幹細胞を採取する際にがん細胞が混入し、再発に影響する可能性があるとされています。
自家造血幹細胞移植を行うには移植率を上げるために65歳未満であること、重篤な感染症や肝機障害・腎機能障害がないこと、心肺機能が正常であるかの確認が必要です。
放射線治療
骨病変による痛みの緩和や腫瘍を縮小することを目的に、放射線治療を行うことがあります。Mタンパクを作り続ける原因である骨髄腫細胞は、放射線の感受性が高いことが特徴です。
骨病変が一部にしかみられない場合は、少ない放射線量でも高い治療効果が得られます。病変が脊髄圧迫まで進行している場合は、ステロイド薬を併用することもあります。
維持療法
造血管細胞移植の治療効果を維持し、更なる効果を得るために維持療法を行うことがあります。維持療法により再発を遅らせたり、生活の質を維持したりすることが可能です。
治療は、寛解導入療法や初回化学療法よりも強度を下げた薬剤内容で行います。寛解になったとしても再発するケースがあるため、その際は再び治療を行います。

