いわゆる「サブスク」形式の動画配信サービスが普及したことにより、膨大な数の映画やドラマが手軽に見られるようになった現代。一方で、「作品が多すぎて何を選べばいいかわからない」「アルゴリズムのおすすめばかりで好みが偏ってしまう」といった“サブスク疲れ”を感じている人も多いのではないだろうか。
そんな中、まるで昔ながらのレンタルビデオショップの店内を歩いて作品を探すような体験を味わえるWebサービスが、SNS上で大きな注目を集めている。
レンタルビデオショップ風の仮想空間で映画を選ぶ「BingeBrowse(Bingebuster)」とは
話題となっているのは、ブラウザ上で動作する無料の3Dバーチャルサービス「BingeBrowse」(旧称:Bingebuster)だ。
サイトにアクセスすると、画面上にはまるで90年代のような雰囲気を漂わせた、どこか懐かしいレンタルビデオ店の風景が広がる。マウス操作で店内を自由に歩き回り、棚にズラリと並んだ映画のDVD風パッケージを眺めることができる。棚は「ACTION」「COMEDY」といったジャンルに加え、「NEW RELEASE(新作)」や「STAFF PICKS(スタッフのおすすめ)」などのコーナーに分かれており、かつてレンタルビデオ店で見たい映画を探していたときの“あの感覚”が味わえる。
気になる作品のパッケージをクリックすると、作品のビジュアルのほか、あらすじや製作年などの概要をその場で確認可能だ。さらに「WATCH IT」の項目からは、その作品が配信されているサービスの視聴ページへ直接ジャンプして、すぐに鑑賞を始められる仕組みとなっている。
サイト全体の表記は英語だが、画面上の国設定で「Japan」を選択すれば、NetflixやAmazon Prime Video、Disney+などグローバル展開のサービスに加え、U-NEXTやFODといった日本国内向けサービスにも一部対応。自分が契約しているサービスだけに絞り込んで棚に並べるフィルタリング機能も備わっている。
映画ファンの心を掴む「偶然の出会い」
これまでにも複数の配信サービスを横断検索できるサイトは存在したが、「BingeBrowse」が話題となっている理由は、レンタルビデオという“往年の体験”をデザインとして取り入れたことにある。
かつて実店舗のレンタルビデオ店に通っていた世代にとって、「店内をあてもなく彷徨い、棚から手に取ったパッケージを眺めながら見たい作品を選ぶ」時間は、映画を見ること自体に匹敵するほどワクワクする体験だった。現代の配信サービスやアルゴリズムによるレコメンドでは味わいにくい、この「予期せぬ出会い(セレンディピティ)」が、バーチャル空間で再現されている。
Xでは、かつてレンタルショップに通っていた世代の映画ファンを中心に大きな反響が寄せられている。
「これいいな。近場のレンタルショップほぼ潰れたから、懐かしさに浸れる」
「デジタル検索は求めているもの、趣味・傾向しか出てこないから情報が偏りがち。予期しなかった出会いはこういう環境で生まれる」
「ミレニアルホイホイすぎる」
「有名な映画の横によく分からないB級映画があると尚良いです」
「本屋さんバージョンも作ってほしいなー」
単なる効率的な検索ツールとしてではなく、「作品を探す時間そのものを楽しむ」というエンタメ体験の復活として、非常に好意的に受け止められているのが特徴的だ。
均質化された配信サービスのUIに少し退屈していた人にとって、「BingeBrowse」のノスタルジックなバーチャル空間は、「探す時間そのものの楽しさ」を思い出させてくれる絶好の場となりそうだ。

