悪役で、嫌われ役
本作の登場人物はいずれも好感が持てる。作中、幾度となく手を血で染めている滝川でさえも、片手でコロコロ転がしてクルミを鳴らしていたりなど、“中二心”をくすぐるキャラ像になっている。にもかかわらず、瞬は本作において唯一無二と言っていいほど、好きになれないキャラだ。この投稿をInstagramで見る
悪役は悪役であるがゆえに、カッコ良さが自ずと備わってしまいがちで、悪役ではあっても嫌われ役にはならないケースが多い。ただ、瞬は広義で言えば悪役ではあるが、カッコ良さは皆無。3話ラストで、奈津を後ろに乗せてバイクで海岸線を走る様子には、青春ドラマのワンシーンのような若々しさと爽快さがある。
ニヤニヤしたくなる見せ場があるにもかかわらず、不快感のあるキャラに仕上げた井上の役作りはすごい。瞬が話す土佐弁さえも、怒りを駆り立てる装置として機能しており、嫌われることに全振りできる表現力と覚悟を感じずにはいられない。
瞬以上の嫌われ役に期待
井上はこれまで、ドラマ『なれの果ての僕ら』(テレビ東京系)や映画『おとななじみ』など、少年漫画や少女漫画を原作にした作品への出演が目立つ。今回『犯罪者』というハードボイルドな作品に出演し、3話のみの登場ではあるが、作品の“引っ搔き回し役”として見事に役を全うした。主演作も多い井上ではあるが、『犯罪者』で完全に“見つかった感”がある。
カッコ良さ、爽やかさを持ちながらも、憎たらしさという替えのききにくい武器を持っている25歳の井上が、今後どのような役を担っていくのか期待したくなる。瞬以上の嫌われる役を演じてほしいが、憎たらしさを小出しにするようなズルい役も見たい。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki

