日本のSNSでも話題を呼んでいるショートアニメ『ヤニねこ』が、思わぬ理由で海外の厳しい法律の壁にぶつかった。キャラクターがたばこを嗜む日常コメディだが、香港ではこれが「違法なたばこ広告」と認定されてしまったのだ。高額な罰金リスクを避けるため、大手配信サイトが即日ブロックに動くなど、ネット上でも驚きと議論を巻き起こしている今回の騒動。なぜアニメの描写が法律違反とみなされたのか、その驚きの背景と各社の対応の全容をまとめた。
日本の人気アニメ『ヤニねこ』が17日に香港で配信停止となった。同作は漫画家集団の「にゃんにゃんファクトリー」による日本の漫画作品が原作で、たばこが大好きな猫耳少女「ヤニねこ」と、同じアパートの住民・友人らの生活を描くコメディ作品。ただ、「メビウス」などの実在するたばこ銘柄が作品に登場することが問題となったようだ。
香港や台湾の報道によると、香港衛生署(保健当局)の「控煙酒辦公室(たばこ・アルコール対策室)」に対し、一般市民から「ネット配信プラットフォームで公開されているアニメ作品に、たばこ製品やブランド名が繰り返しはっきりと表示されており、たばこ広告が含まれている疑いがある」との苦情が寄せられたことが発端だという。
当局が調査した結果、同作の内容が香港法例第371章「吸煙(公衆衛生)条例」に違反すると判断された。同条例の第14条では、明示・暗示を問わずたばこの購入や喫煙を促す内容にとどまらず、「たばこ製品やそのパッケージ、特徴を描写または言及するもの」はすべて「たばこ広告」であると極めて厳格に定義されている。さらに第13条B項において、こうしたたばこ広告をインターネット上に掲載・配信することが禁じられており、違反した場合は最高5万香港ドル(約101万6000円)の罰金が科され、違反状態が継続すれば1日につき1,500香港ドル(約3万400円)が加算されるという厳しい罰則が存在する。
この通達と当局の要求を受け、台湾の大手アニメ配信プラットフォーム「巴哈姆特動畫瘋(バハムート アニメクレイジー)」は、法規と要求を遵守するため、17日をもって香港エリアでの同作の配信を即座に停止した。同社はSNSを通じて香港のユーザーに向けて遺憾の意と謝罪の声明を出すとともに、権益が損なわれたと感じる有料会員に対しては、当期分のサブスクリプション料金の返金申請を受け付けるという誠実な対応をとった。
また、本作のアジア圏におけるライセンス代理店である羚邦集団(Medialink Group)が運営するYouTube公式チャンネル「Ani-one中文官方頻道」においても、同様に香港向けの配信が停止される事態となった。
一方で、全世界の海外放映権を持つ「Netflix」の香港向けサイトでは今のところ要請の影響を受けておらず、現在も引き続き視聴が可能な状態となっている。当局は今後も関連する苦情の動向を注視し、対応を続けるとしており、香港の厳格な「たばこ広告規制」が実在の銘柄を頻繁に描写する日本のアニメ作品に適用され、高額な罰金リスクから主要な配信プラットフォームが即日放送取りやめに追い込まれるという異例の事態として、ネット上でも大きな議論を呼んでいる。

