手足口病は、乳幼児を中心に流行する感染症です。名前のとおり、手足や口の中に発疹が表れることが特徴です。また、発熱や食欲低下などを伴うこともあります。多くは数日から1週間程度で自然に改善しますが、口の痛みで水分が取りにくくなると脱水につながることがあります。また、症状が落ち着いた後も数週間は便からウイルスが排出されるため、家庭内での感染にも注意が必要です。本記事では、手足口病の症状や経過、受診の目安、家庭内感染を防ぐポイントについて、きむらクリニックファミリー棟施設長の木村先生に聞きました。
※2026年6月取材。

監修医師:
木村 将裕(きむらクリニック ファミリー棟)
2011年に岩手医科大学医学部を卒業。東京医科大学病院で初期研修を行い、東京医科大学病院 小児科・思春期科、東京医科大学八王子医療センター 小児科、荻窪病院 小児科などで経験を積む。現在はきむらクリニック ファミリー棟の施設長を務める。日本小児科学会 小児科専門医、日本小児感染症学会 小児感染症認定医。
まず知りたい! 手足口病ってどんな病気?
編集部
手足口病とは、どのような病気なのでしょうか?
木村先生
手足口病は、主にコクサッキーウイルスA16やエンテロウイルス71などによって起こる感染症です。乳幼児を中心に流行し、特に夏場に増える傾向があります。手のひらや足の裏、口の中などに発疹や水疱(すいほう)が表れるのが特徴で、保育園や幼稚園など集団生活を通じて広がることも少なくありません。
編集部
どのような子どもがかかりやすいのでしょうか?
木村先生
特に多いのは5歳以下の乳幼児です。まだ十分な免疫を持っていないため、保育園や幼稚園などで流行すると感染が広がりやすくなります。一方で、一度かかったことがあっても、原因となるウイルスの種類が異なれば再び感染することもあります。
編集部
どのような症状が見られるのでしょうか?
木村先生
口の中の痛みを伴う発疹や、手足の発疹が代表的です。発熱を伴うこともありますが、高熱が長く続くことは比較的少ない印象です。ただ、口の中が痛くなることで食事や水分が取りづらくなり、機嫌が悪くなるお子さんもいます。
編集部
発疹はどのように出るのでしょうか?
木村先生
手のひらや足の裏、足の甲(足背)、口の中などに小さな水疱状の発疹が見られることがあります。肘や膝、お尻の周囲などに広がるケースもあります。発疹そのものは強いかゆみを伴わないこともありますが、口の中の痛みがつらくなることがあります。
どんな経過をたどるの? 注意したい症状は?
編集部
手足口病は、どのような経過をたどることが多いのでしょうか?
木村先生
多くは数日から1週間程度で自然に改善します。ただし、口の痛みで水分摂取が減ると脱水につながることがあります。また、まれに髄膜炎(ずいまくえん)や脳炎などの中枢神経系の合併症を起こすこともあります。ぐったりしている、反応が悪いなどの様子があれば注意が必要です。
編集部
「手足口病かな?」と思ったら、どのように対応すればよいでしょうか?
木村先生
まずは発熱の有無や発疹の部位、食事や水分が取れているかを確認してください。口の中の痛みで飲食が難しくなっている場合や、機嫌が極端に悪い場合は早めの受診をおすすめします。また、周囲で流行している場合は、集団生活の場で感染が広がることも意識しておく必要があります。
編集部
受診の目安について教えてください。
木村先生
手足口病は自然に改善することも多い病気ですが、発熱や発疹がある場合は、一度小児科で状態を確認してもらうと安心です。特に、水分が取れない、尿が少ない、ぐったりしている、高熱が続く、呼びかけへの反応が悪いといった場合は早めに受診しましょう。乳幼児は脱水になりやすいため、「いつもと様子が違う」と感じた際は無理せず相談してください。
編集部
どのような治療を行うのでしょうか?
木村先生
手足口病に対する特別な抗ウイルス薬はなく、症状を和らげながら自然に回復するのを待つ対症療法が中心です。発熱や痛みに対して解熱鎮痛薬を使うこともあります。また、脱水を防ぐため、水分摂取のサポートも行います。

