橋本病(慢性甲状腺炎)は、甲状腺に慢性的な炎症が起こる自己免疫疾患です。倦怠感やむくみ、寒がり、体重増加などの症状がみられることがありますが、初期には自覚症状が少ない場合もあります。
そのため、「健康診断で甲状腺の数値異常を指摘された」「首の腫れが気になるが何科を受診すればよいかわからない」と悩む方も少なくありません。
本記事は、橋本病が疑われる場合に受診する診療科や、内分泌内科・甲状腺外来で受けられる検査、医療機関選びのポイントを解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
橋本病が疑われるときに受診する診療科

橋本病は何科を受診すればよいですか?
橋本病が疑われる場合は、内分泌内科や甲状腺外来の受診が推奨されます。橋本病は甲状腺ホルモンの異常や自己免疫が関係する病気であるため、ホルモン疾患に対応する内分泌内科が診療を行っています。特に首の腫れや甲状腺機能低下症が疑われる症状がある場合は、内分泌内科や甲状腺外来を受診するとよいでしょう。
ただし、近くに外来がない場合は、まず一般内科を受診しても問題ありません。診察や血液検査の結果から、必要に応じて医療機関へ紹介してもらうことができます。
内分泌内科ではどのような診療を受けられるか教えてください
内分泌内科では、甲状腺ホルモンの異常や甲状腺の状態を詳しく調べるための検査を受けることができます。一般的には、TSHやFT4などの甲状腺ホルモンの値を確認する血液検査に加え、抗TPO抗体や抗サイログロブリン抗体などの自己抗体検査を行います。また、甲状腺超音波検査(エコー検査)によって、甲状腺の大きさや炎症の程度、しこりの有無などを確認します。
これらの結果を総合的に判断し、橋本病かどうか、甲状腺機能低下症を発症しているかを評価します。必要に応じて甲状腺ホルモン補充療法や定期的な経過観察が行われます。
かかりつけの内科でも相談できますか?
橋本病が疑われる症状がある場合は、かかりつけの内科でも相談できます。橋本病では、倦怠感やむくみ、体重増加、寒がり、便秘など、一般的な体調不良と区別しにくい症状が現れることがあります。そのため、まず内科で相談し、必要に応じて血液検査を受けることも有効です。
また、健康診断で甲状腺機能異常や首の腫れを指摘された場合も、まずは内科で相談可能です。
参照:
『橋本病(慢性甲状腺炎)』(日本内分泌学会)
『専門医制度』(日本甲状腺学会)
甲状腺を専門とする医療機関の選び方

甲状腺を専門とする外来とはどのようなものか教えてください
甲状腺外来とは、橋本病やバセドウ病、甲状腺腫瘍などの甲状腺疾患を診療する外来です。一般的な内科でも甲状腺疾患の診療は可能ですが、甲状腺外来では甲状腺ホルモン検査や自己抗体検査に加え、甲状腺超音波検査(エコー検査)を院内で実施できることが多く、診断から治療方針の決定までスムーズに進められる場合があります。
また、甲状腺結節や甲状腺がんが疑われる場合には、穿刺吸引細胞診などの検査に対応している施設もあります。そのため、首の腫れやしこりがある場合や、甲状腺疾患の診断後に継続的な管理が必要な場合は、甲状腺外来の受診を検討するとよいでしょう。
日本甲状腺学会の専門医とはどのような資格ですか?
日本甲状腺学会専門医は、日本甲状腺学会が認定する甲状腺疾患の専門医資格です。取得するためには、医師免許取得後の一定期間にわたり甲状腺疾患の診療経験を積み、学会が定める研修要件や症例経験を満たしたうえで、審査や試験に合格する必要があります。
専門医は、橋本病やバセドウ病などの一般的な甲状腺疾患だけでなく、甲状腺腫瘍や甲状腺がんなど幅広い疾患について一定の知識と経験を有しています。
症状が複雑な場合や診断に不安がある場合は、日本甲状腺学会専門医が在籍する医療機関を選ぶことも一つの方法です。
医療機関を選ぶときに確認したい点はありますか?
甲状腺疾患の診療を受ける際は、次のような点を確認するとよいでしょう。まず、甲状腺ホルモン検査や甲状腺超音波検査に対応しているかを確認しましょう。橋本病の診断や経過観察では、血液検査だけでなく超音波検査も重要です。
また、日本甲状腺学会専門医や日本内分泌学会専門医が在籍しているかも確認しましょう。
必要に応じて細胞診や手術が可能な高次医療機関と連携しているかも重要です。橋本病そのものは手術を必要としないことが多いものの、しこりや腫瘍がみつかった場合には追加検査が必要になることがあります。
継続的な通院が必要になることもあるため、自宅や職場から通いやすいかどうかもみておきたいポイントです。定期的な血液検査や経過観察を無理なく続けられる医療機関を選びましょう。
参照:
『専門医制度』(日本甲状腺学会)
『内分泌・代謝内科』(京都医療センター)

