犬が飼い主に『腰を振る』理由6つ

犬のマウンティングには複数の理由があり、必ずしも性的な意味や上下関係を示しているとは限りません。行動が起きる場面や直前の出来事、愛犬の表情などを観察しながら、背景にある気持ちを考えることが大切です。
1.性本能の影響を受けている
去勢や避妊をしていない犬では、性ホルモンの影響によって、飼い主の足やほかの犬、クッションなどへマウンティングすることがあります。
発情中の犬のニオイに反応したり、成長に伴って性成熟を迎えたりした時期に、行動が目立つようになるケースもあるでしょう。ただし、去勢・避妊手術を受けた犬にも見られるため、マウンティングのすべてを性的な意味だけで説明することはできません。
2.興奮や喜びをうまく抑えられない
飼い主が帰宅したときや激しく遊んでいる最中など、うれしさや興奮が高まりすぎると、気持ちの持って行き場がなくなって腰を振ることがあります。
特に若い犬や興奮しやすい性格の犬では、自分で気持ちを落ち着かせることが難しく、マウンティングという行動として表れる場合があります。このようなケースでは、性的な意味というより、感情が高ぶった結果と考えられるでしょう。
3.遊びに誘っている
飼い主ともっと遊びたい、相手をしてほしいという気持ちから、マウンティングをする犬もいます。過去に腰を振った際、飼い主が声をかけたり追いかけたりした経験があると、その反応自体を遊びだと覚えている可能性もあります。
特に子犬や若い犬では、遊び方がまだ上手ではなく、興奮した勢いでこの行動に出ることがあるでしょう。
4.ストレスや退屈を発散したい
散歩や遊びが足りない、留守番時間が長い、生活環境に変化があったなどの理由でストレスがたまると、その発散方法としてマウンティングをすることがあります。
同じ対象へ何度も繰り返す、暇になるとすぐ始めるといった場合は、運動不足や刺激不足が関係しているかもしれません。散歩の内容や遊び方、休息できる環境など、日常生活全体を見直すことが大切です。
5.構ってほしい・注目してほしい
マウンティングをしたときに飼い主が大声を出す、押しのける、話しかけるといった反応をすると、犬が「この行動をすれば注目してもらえる」と学習することがあります。
犬にとっては、叱られることさえも飼い主から反応を得られた経験になる場合があります。そのため、退屈したときや要求が通らないときに、注目を集める手段として繰り返すようになることもあるでしょう。
6.自分の存在をアピールしている
ほかの犬や人がいる場面で、自分に注目してほしい、興奮した気持ちを表したいときにマウンティングが見られることもあります。
以前は「相手より優位に立ちたい行動」と説明されることもありましたが、現在では、マウンティングは上下関係だけでなく、興奮、不安、遊び、学習など複数の要因が関係すると考えられています。一つの理由へ決めつけず、その場の状況を含めて判断しましょう。
やめさせるにはどうしたらいい?

マウンティングを減らすには、行動が始まってから強く叱るのではなく、起こるきっかけを把握して、その前後の対応を整えることが重要です。落ち着いた行動をしたときに褒めることで、別の行動へ切り替えられるよう教えていきましょう。
大げさに反応しない
腰を振り始めたときに大声で叱ったり、慌てて押しのけたりすると、犬の興奮をさらに高めることがあります。
また、飼い主の反応を求めている犬にとっては、注意されること自体がご褒美になる可能性もあります。落ち着いた声で「おりて」「おすわり」などの合図を出し、静かに行動を中断させましょう。
興奮が高まる前に休憩を入れる
遊びや来客時など、決まった場面でマウンティングが起こる場合は、興奮が頂点に達する前に遊びを中断し、気持ちを落ち着かせる時間を作ります。
「おすわり」「ふせ」「待て」など、普段からできる合図へ切り替え、成功したら穏やかに褒めましょう。完全に興奮してから止めるよりも、兆候が見えた段階で対応するほうが切り替えやすくなります。
運動や遊びの内容を見直す
散歩時間を増やすだけでなく、ニオイを嗅ぐ時間を設ける、知育玩具を使う、ノーズワークを取り入れるなど、頭と体の両方を使える活動を増やしましょう。
十分に刺激を得られると、退屈や余ったエネルギーによるマウンティングが減る場合があります。ただし、遊びで興奮しすぎる犬では、激しい運動だけでなく、ゆっくり探索する時間も組み合わせることが大切です。
マウンティング中の要求には応じない
腰を振った直後に遊び始めたり、おやつを与えたりすると、「この行動をすれば要求が通る」と覚えてしまう可能性があります。
いったん静かに距離を取り、犬が落ち着いて座る、待つなどの行動を見せてから声をかけたり遊んだりしましょう。望ましい行動をしたときに反応することで、どのように振る舞えばよいかを伝えやすくなります。
行動が起こりにくい環境を作る
来客時に興奮して繰り返す場合は、あらかじめ別室やサークルで落ち着けるようにするなど、マウンティングが始まりにくい状況を作る方法もあります。
対象になりやすいクッションやぬいぐるみがある場合は、一時的に片付けるのもよいでしょう。ただし、物を取り上げるだけでは根本的な解決にならないため、運動やストレス対策も同時に行うことが必要です。
獣医師や専門家へ相談する
性ホルモンの影響が強いと考えられる場合は、去勢・避妊手術によって行動が減る可能性もありますが、必ず改善するとは限りません。手術の必要性や時期については、健康状態も含めて獣医師と相談しましょう。
また、急に頻度が増えた、陰部を頻繁になめる、排尿に異常がある、止めてもすぐ繰り返すといった場合は、体の不調や強いストレスが関係している可能性があります。対応が難しいときは、獣医師や犬の行動に詳しいドッグトレーナーへ相談すると安心です。

