俳優の仲野太賀が主演を務めるNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合ほか)の第32回が23日に放送され、羽柴筑前守秀吉(池松壮亮)と柴田勝家(山口馬木也)の対立が、賤ケ岳の戦いを目前に激しさを増した。そんななか、勝家の妻・市(宮﨑あおい)と茶々(井上和)の母娘が話し合い、秀吉暗殺を申し出た茶々に、市が人生を振り返りながら「そなたにもいつか、こういう日が来ることを願っておる」と語りかけた。この言葉が、後に豊臣家の興亡に深く関わる茶々の人生を知る視聴者の胸に響き、SNSに「淀殿から大阪の陣まで見据えたセリフ」「豊臣滅亡フラグ立った」といったコメントが寄せられた。
「豊臣兄弟!」とは?
豊臣秀長(仲野)を主人公に、天下人となる兄・秀吉を補佐役として支えた弟の目線で戦国時代をダイナミックに描く大河。連続テレビ小説「おちょやん」や、「半沢直樹」「下町ロケット」「陸王」(以上、TBS)などのヒット作で知られる八津弘幸さんが脚本を担当する。
「お市さまが茶々にこう言ったから、豊臣が滅びることに」
茶々は、市と亡き浅井長政(中島歩)の間に生まれた長女。父を討った秀吉への反感を抱きながらも、政争に巻き込まれてきた母を誰よりも気にかける少女として描かれている。第31回(16日放送)では、市の様子を見に北庄城を訪れた秀吉に対しても、冷たい態度を見せていたが、義父となった勝家には穏やかに接しており、母と勝家の間にある穏やかな時間を大切にしていることがうかがえた。
この日の放送で、秀吉と勝家の直接対決が迫るなか、茶々が市に「自分を羽柴方への人質にしてほしい」と申し出た。秀吉が油断した隙を狙い、討ち取ってくるという。その言葉を聞いた市は、自身の過去を思い出した。かつて市も、兄・織田信長(小栗旬)に対し、今川義元(大鶴義丹)の人質になると自ら申し出ていた。母の役に立ちたいという茶々の思いに、市は自分自身の過去を重ねる。
そして、これまで政略の道具として娘たちを振り回してしまったことを詫び、「そなたらのことは母が必ずや守る」と約束。さらに、自分で選んだ道を進むことへの喜びを語った。「怖くはないのですか」と問う茶々に、市は、生まれて初めて自分自身で選んだ道を進んでいることがうれしいと伝え、娘に「そなたにもいつか、こういう日が来ることを願っておる」と語りかけた。
ここで市が茶々に伝えた「自分で選んだ道」という言葉は、母娘の現在だけでなく、茶々のその後を知る視聴者にとって、特別な意味を持つ。
市はこの直後、勝家とともに北庄城で最期を迎える。一方、茶々は後に秀吉の側室となり、秀頼を生む。秀吉の死後には豊臣家を背負う立場となり、最終的には大坂夏の陣で秀頼とともに命を落とすことになる。
つまり今回の母娘の会話は、市が娘に「自分の人生を自分で選ぶこと」の意味を伝える場面であると同時に、後に豊臣家の命運を背負う茶々の人生を思わせる場面にもなっていた。
第33回(30日放送)では、北庄城での市と勝家の最期が描かれる。市の言葉を受けた茶々のこの先を知る視聴者にとっては、この日の母娘の会話そのものが、茶々の波乱に満ちた人生を想起させ、SNSには、
「淀殿から大阪の陣まで見据えたセリフ」
「娘の茶々こと淀君もまた、母、お市と同じく落城で命を落とす運命かと思うと…」
「お市さまが茶々にこう言ったから、豊臣が滅びることに」
「茶々様の未来の決断に影響を与えてることが伺えてしまう」
「豊臣滅亡フラグ立った」
などのコメントが殺到。特に注目されたのは、「いつか、こういう日が来る」という市の言葉そのもので、史実上、茶々にもまた、豊臣家の行く末を左右する立場として、自らの意思で決断を迫られる時が訪れるだけに、現在の母娘の会話と後の歴史を重ねて受け止める視聴者が相次いだ。

