俳優の堺雅人が主人公の乃木憂助を演じる「日曜劇場『VIVANT』」(TBS系、毎週日曜夜9時)の第15話が23日、放送され、これまで詳細が伏せられてきた警視庁公安部の刑事・野崎守(阿部寛)の過去に、新たな手がかりが示された。中国の極秘諜報組織「シンシー」への潜入任務に就いていたことが判明した野崎について、その経緯を説明する公安部長・佐野雄太郎(坂東彌十郎)の口から張競士(チョウ・ケイシ)と劉銘軒(リュウ・ミンシュエン)という2人の元エージェントの名前が飛び出した。なかでもリュウは、第1シーズン第7話で野崎が乃木に語っていた、かつての部下。第15話で、野崎の過去を描く新たな物語に改めてその存在が結び付いたことで、前作から続く伏線の一つとして注目を集めている。野崎が今なお抱える後悔、シンシーとの因縁、そして乃木との意外な接点まで浮かび上がらせる可能性を秘めたリュウの存在は、前作から続く物語を読み解くうえで、今後さらに重要な意味を持ちそうだ。
「VIVANT」とは
「半沢直樹」や「下町ロケット」シリーズなど数々のヒットドラマを手がけてきた福澤克雄監督が原作・演出を務めるオリジナル作品。堺、阿部のほか、二階堂ふみ、松坂桃李、二宮和也、役所広司らが出演する。
ロシア、モンゴル、中国などと国境を接する架空の国・バルカ共和国と日本を主な舞台に、陸上自衛隊の非公認諜報部隊「別班」、公安警察、国際テロ組織「テント」など、複数の組織が絡み合う物語が展開される。第2シーズンは、前作最終話の直後に起きた別班員5人の拉致事件を軸に、乃木が事件の真相を追っていく。
乃木(堺雅人)によく似たかつての野崎(阿部寛)のエージェント
第15話では、野崎の“裏切り”の真相を追う乃木が、野崎を傍で支えてきた生活安全部サイバー犯罪対策課の捜査官・東条翔太(濱田岳)から事情を聴取した。
東条は、警察に転職する以前に犯したサイバー犯罪の証拠を握られ、野崎に疑いが向かないよう偽装工作を手伝わされていたことが判明。さらに、東条の自宅や野崎が率いていた公安部外事第4課のオフィスには多数の監視カメラが仕掛けられており、公安の動きそのものがシンシー側に筒抜けになっていた可能性が浮上した。
乃木は以前、野崎から示された助言を手がかりに、バルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)のもとを訪問。そこで野崎から託された1枚のメモを受け取る。そこには「天網恢恢疎にして漏らさず」という中国のことわざが書かれていた。
乃木はこの言葉について、野崎が「自分は厳重な監視下に置かれている」という状況を伝えようとしたのではないかと推測。直接ではなくチンギスを介したことにも、シンシー側への情報漏れを警戒していた事情があると読み取った。
その後、公安からの情報漏洩という国家機密に関わる事態を受け、別班の司令・櫻井里美(キムラ緑子)は、野崎のシンシーとの接触を知っていたとみられる佐野を確保。尋問を行い、野崎がシンシーへの極秘潜入任務に就いていたこと、別班員拉致もシンシーを信用させるための作戦の一環だったことが明らかになった。
さらに佐野は、その経緯を5年前までさかのぼって説明する。「5年前、野崎は北京の日本大使館にリエゾンとして駐在。裏で、弾道ミサイルを撃ちまくっていた北朝鮮に対する諜報活動を行っていた。数多くいるエージェントの中で、野崎の下で動いていたのが、チョウ・ケイシ、リュウ・ミンシュエンの2人だった」。この証言によって、これまで断片的にしか語られていなかった野崎の過去が、現在進行しているシンシーとの戦いにつながっていることが示された。
リュウの名前自体は、今回が初登場ではない。第1シーズン第7話、野崎がバルカへ向かう機内で乃木に自身の過去を語り、そのなかでリュウの存在に触れていた。
野崎によると、リュウは野崎がかわいがっていた後輩で、真面目で一生懸命。野崎に認められようとするあまり、任務でも度を超えた調査に踏み込んでしまい、その結果、命を落としたという。
野崎は、そんなリュウについて、頼りなく見えても芯のあるところが乃木に似ていると説明。そして、自分がもう少し気を配っていれば、リュウを死なせずに済んだかもしれないと悔やみ、「俺にとっての唯一の失敗だ」と語っていた。
当時、野崎の人物像や過去を補強するエピソードの一つにも見えたこの会話が、第15話で具体的な名前と役割を伴って再浮上した。5年前、北京で野崎の下にいたエージェントとしてチョウとともに名前が挙がったことで、リュウの死、野崎が抱える後悔、そして野崎とシンシーの因縁が、一つの線で結び付く可能性が強まっている。
第15話で改めてリュウの名が登場すると、前作第7話の野崎の告白を覚えていたドラマファンが一斉に反応した。
SNSには、
「そこでリュウ・ミンシュエンにつながってくるのか」
「リュウはシンシーに殺されたのか?」
「野崎はリュウの復讐も兼ねて潜入?」
などの声が続々。今回明かされた野崎の潜入任務と、5年前に亡くなったとされるリュウの存在を結び付ける視聴者が相次いだ。
野崎がシンシーへ潜入した理由については、第15話が終わった時点ではまだ全容が明かされていないが、野崎自身が「唯一の失敗」とまで悔やんできた部下が、シンシーにつながる可能性のある人物として改めて物語に登場したことは、今後の野崎の過去を読み解く上でも重要な手がかりとなりそうだ。
一方、第16話(30日放送予定)では、野崎がシンシーへ潜入した目的や、リュウとチョウの2人が深く関わる5年前の出来事が描かれる。
リュウが実際に画面に登場する可能性も高まるなか、視聴者の間では「乃木に似ている」と前作で説明されていたリュウを、誰が演じるのかにも注目が集まっている。
SNSには、
「乃木に似ているという設定だったよね。つまり、堺雅人はもう一役演じるってことかな?」
という予想に加え、
「リュウが実は生きていて、乃木と同一人物とか…」
と声も寄せられ、リュウと乃木の関係そのものを大胆に推測する人もいる。
さらに第15話では、かつて野崎のエージェントだったドラム(富栄ドラム)が、野崎が潜伏している中央アジアのゴルバド共和国へ渡り、現地で独自に行方を追っていることも判明。ところが、現地の別班員が撮影した画像に映り込んだドラムが持っていた顔写真が、野崎ではなく乃木に見えるとして話題になった。
この描写と、前作で「乃木に似ている」と説明されたリュウを結び付け、
「ドラムが見せてた写真、乃木に見えるけど実は乃木に似てるっていうリュウ・ミンシュエンなんじゃ?」
「ドラムが探しているのは野崎ではなくリュウ・ミンシュエンという可能性?」
「張競士がドラム、劉銘軒がドラムの義理の兄説。乃木をルモー地区で探す意味はない。ということは乃木に似ている一緒に働いてた義理の兄を探してるんじゃ」
といった考察も相次いでいる。
第15話で提示されたのは、あくまで「5年前、北京で野崎の下にチョウとリュウがいた」という事実まで。その一方で、前作から残されていた「野崎が唯一の失敗と語った後輩」「乃木によく似た人物」という情報と、今回の写真をめぐる違和感が重なったことで、リュウの存在は一気に現在の物語へと近づいた。
これまで断片的にしか語られてこなかった野崎の過去。その中心にいたリュウの正体と、5年前に何が起きたのかが明らかになることで、野崎がなぜシンシーへの潜入という危険な任務を選んだのか、その本当の理由も見えてきそうだ。

