●婚約しても「結婚しなければならない」わけではない
では、婚約すると、必ず結婚しなければならないのでしょうか。
婚約が成立していたとしても、相手に「結婚を強制する」権利までは認められていません。
婚姻は、当事者の自由な意思によって成立するものであり、履行を強制することはなじまないためです。
一方、正当な理由なく一方的に婚約を破棄した場合には、不法行為(民法709条)や債務不履行(民法415条)を理由として、慰謝料などの損害賠償が認められることがあります。
●「婚約」と「法律婚」では何が違う?
このように、婚約は民法に明文で定められた制度ではありませんが、裁判例では「婚姻予約」として扱われ、不当な破棄に対して損害賠償を認めるなど、一定の法的保護が与えられてきました。
ただし、婚姻届を提出して法律上の夫婦になった場合とは、法的な効果が大きく異なります。
法律婚では、夫婦の氏や同居・協力・扶助義務、相続権など、さまざまな権利義務が発生します。
一方、婚約しただけでは、こうした法律上の配偶者としての地位がそのまま与えられるわけではありません。
婚約はいわば法律婚に向けた一つの段階であり、婚姻届を提出するかどうかによって、法的な権利義務は大きく変わることになります。

