「発達障害改善に習い事は効果ある?」に脳科学者・澤口先生が回答

「発達障害改善に習い事は効果ある?」に脳科学者・澤口先生が回答

お子さんの習い事のこと、成績のこと…ママの日々の悩みは尽きませんね。そこで、脳科学的観点・立場から教育現場に深く携わっていらっしゃる脳科学者・澤口俊之先生に、悩めるママたちから寄せられた習い事にまつわるお悩みに答えていただきました! 
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Q1.子どもが習い事を嫌々やっている場合、どう対処すればいいですか?(35歳/娘7歳)

“じゃあ、やめさせればいい”っておっしゃるかもしれませんが、そうすると何でもすぐやめてしまう子になってしまいます。やりたくないことはやらなくていいんだ、やめさせてもらえるんだってね。小さいころにそうしてしまうと、中学生になったとき“やれ!”と言ってももう無理。大人になったらなおさらです。だから、嫌々でも子どものうちはやらせてください。じゃあ、やらせるときはどうしたらいいか?といったら、ご褒美しかありません。ご褒美といってもモノを与えるわけじゃありません。今の辛さを“将来の報酬の予期”に置き換えるんです。つまり、今は辛いけれどこれを乗り越えれば、例えばお子さんの何か好きなこと、サッカーが上手くなるよ!とか、頭がよくなるよ!とか、モテるよ!とか(笑)。今の段階で報酬がもらえなくても、あとあとこんないいことがあるんだと言いきかせて続けさせてください。思春期くらいまではそうやったほうがいいです。どうしてもやめたい時には、小さなことでもいいので、“何か目標を達成してから”という条件を付けて、達成感を経験させてから、やめた方がいいでしょう。

Q2.子どもの習い事が上達しないときや成績やテストが悪いとき、どう声をかければいいですか?(38歳/息子10歳)

けっして責めたり怒っちゃダメです。“今回は頑張りが足りなかっただけで、もう少し頑張ればもっとよくなるよ!”“平均点よりは上だったんだから、つぎ頑張って!”と、言ってあげてください。そこから次に上がったらもちろん褒めて、下がったら“もっとがんばろうね”と、それでいいんです。逆にほめるときも注意が必要です。褒め方には「過程をほめる方法」、「“天才!”など能力を褒める方法」、「“すごい!”などの感嘆詞」の3つがあります。必ず褒めるときは、“あのときこうしたから、こんないい結果につながったんだね”と、過程を褒めるようにしてください。すぐに結果はでなくても、過程を褒め続ければ2~3年後には成績も上がり、自分から勉強する子になります。逆に、言うだけマイナスなのは能力を褒めてしまうこと。“天才!”などと言い続けると、自分より優れた人が現れたときや成績が落ちたりしたときに“自分は能力がない、勉強したって意味がない”と立ち直れなくなってしまいます。そして、“スゴいね~”“やったね~”などの感嘆詞は、プラスにもマイナスにもならない、効果のない褒め言葉です。

お話をお聞きした人

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澤口俊之

1982年 北海道大学理学部生物学科卒業/1988年 米国エール大学医学部神経生物学科 ポストドクとして赴任/1991年 京都大学霊長類助手研究所助手/1991年 北海道大学医学研究科教授/2006年 人間性脳科学研究所所長就任/2012年 武蔵野学院大学教授兼任/2013年 同大学院教授兼任専門は神経科学、認知神経科学、霊長類学。理学博士。近年は乳幼児から高齢者の幅広い年齢層の脳の育成を目指す新学問分野「脳育成学」を創設・発展させている。著書に「幼児教育と脳」「わがままな脳」「学力と社会力を伸ばす脳教育」「夢をかなえる脳」「やる気脳を育てる」など多数。最近の著書に「脳を鍛えれば仕事はうまくいく」「モテたい脳、モテない脳」がある。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、NHK「突撃!アッとホーム」等、TV番組にも出演。