チックは心の病気ではありません
チックとは、一種の癖のようなもので、乳幼時期から学童期にかけ、心と体の成長・発達の過程で多くみられると言われています。本人の意思とは関係なく体の一部が動いたり、音声を発したりする症状で、それが固定・慢性化して激症化するとチック症と診断されます。精神的なストレスからくる心の病気と思っている人も多いようですが…。
「以前は精神的なものが原因と言われていたのですが、現在は“出やすい体質と出にくい体質”というのが生まれつきあって、それが何かのきっかけで出始めて一時的に出たり、そのあと出続けたり、出たり出なかったりを繰り返したり、いろいろなケースがあるということがわかっています」と、話してくださったのは児童青年精神科医の新井慎一先生。
精神的な要因もあるそうで、“緊張”との関係が大きいそうです。
「緊張感の上下動が激しいときは、比較的チックの症状が出やすいんですね。例えば年度替りでクラスや担任の先生が変わり、緊張感が前より強くなると、チックを発症する子が増えるでしょう。逆に、リラックスしている時に症状が多く出るタイプもあります」(新井先生 以下同)

チックにはどんな症状があるの?
チックといっても、症状の軽いものから重いものまで様々。
「まばたきや白目をむく、ギュッと目をつぶる、鼻をクシャっとさせる、首を振る…などの運動性チックと、咳払いをしたり、音を鳴らして鼻をすすったり、なかにはアーアーと声を出したりする音声チックがあります」
さらに、運動性チックと音声チックそれぞれに、単純チックと複雑チックがあるといいます。
「運動性チックでも、まばたきなどのように意味のない動きの単純チックと、触りたくなる、舐めたくなるなどの複雑チックがあります。また、音声チックにも咳払いなどのような単純チックに対して、汚い言葉を言いたくなってしまう“汚言症”というタイプの複雑音声チックもあるのです」