「きょうだいが憎い! カインコンプレックスを生みやすい環境と親の言動」

「きょうだいが憎い! カインコンプレックスを生みやすい環境と親の言動」

(3)二人きょうだい、年齢が近い同性のきょうだいはこじれやすい

二人きょうだいは、問題がこじれやすいという。

「親御さんがどちらかに注目すれば、もう一方は注目されない。といったように、二人きょうだいは利害が対立しやすいんですね。しかも、他のきょうだいがなだめ役にもなれない環境なので、とてもこじれやすいです。ただし、きょうだい関係はそれぞれですので、三人きょうだい以上でも、二人きょうだいよりもこじれることはあります」

さらに、類似性がより強い同性・同世代のきょうだいは葛藤が大きいという。

「年齢が離れたきょうだいや異性の場合は、比較対象になりづらいですし、本人たちもライバル意識が起こりにくいです。逆に類似性が強い同性・同世代のきょうだいの場合は、できることや習い事など共通する点が多いので、本人たちも意識してしまいますし、親御さんもつい比べてしまうんですね」

(4)きょうだいが、なんらかの障害や疾病を抱えているケース

カインコンプレックスは、こんな意外なケースにも影を落とす。

「きょうだいのどちらかが障害や疾病を抱えている場合も、カインコンプレックスを生むことがあります。親御さんは障害を持っているお子さんにかかりっきりになり、周囲の人も気遣います。きょうだいもそれを理解して“障害があるんだからしょうがない。お母さんも大変だし…”と、どんなに寂しくても我慢します。その我慢があるとき爆発してしまうんです。子どもはどんな事情があろうと、親の愛を求めています。そのことをしっかり理解し、日ごろ我慢している子には、特別な時間を作ってあげるなど、フォローを忘れないでください」

このように、気づかぬうちに親がきょうだいを追い込んでしまうことも。もし、環境や言動に心当たりのある方は、ぜひ今日から接し方を改善してみてください!
(構成・文/横田裕美子)

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松尾直博

東京学芸大学教育学部准教授。博士(心理学)

児童臨床心理学、スクールカウンセリング等 を専門領域とし、臨床心理士、学校心理士、 特別支援教育士スーパーバイザーとして、ま た幼稚園、小学校、中学校などでカウンセラ ーとしても活動している。 <b> </b>