●社会的関心の高まり
児童虐待の通告が急増した背景には、社会的な関心が高まったことが挙げられます。今年5月、北海道で起きた「山中置き去り事件」。あの事件が発生したことで、メディアでも“しつけ”や“虐待”について取り上げる機会が増えましたよね。パパやママをはじめとする大人たちが、あらためて子どもとの接し方について考え直すきっかけになったように感じます。児童虐待の件数が増加したのではなく、社会的関心の高まりにより、通報が増えたのではないかとの意見もあるようです。
●児童虐待の認定が広がる
虐待の認定基準が広がったことも、通告件数の増加につながった可能性があるといいます。子どもに直接の被害がなくても、日常的な家庭内暴力(面前DV)のある家庭で育つ子どもに対して、心理的虐待が適用されることになったことが理由だそう。
また、児童相談所への全国共通ダイヤルの簡易化も理由のひとつ。昨年7月に10桁から3桁(189番)に短縮になりました。相談件数は、2014年度は9912件でしたが、短縮後の2015年度は、およそ3倍の2万9083件に増加したそうです。
“夫婦の宝物”であるはずの子どもたちが、これだけ多く虐待被害に遭っているということに、驚きを隠せません。また、25年連続で増加しているというのも、もはや“異常事態”ですよね。来年度には、児童虐待が少しでも減っていることを願うばかりです。
(文・明日陽樹/考務店)
