●学校の授業がつまらない。授業の質が問われる現実。
もうひとつは、学びへのストレス。学びの有用性が感じられないことだという。
「これは、子どもたちをとりまく環境の変化と、それに対応できない学校に原因があります。今どきの小学生は、高学年になるとクラスの半数以上、都心の学校では8割が塾に通っています。つまり、ダブルスクールの生活に疲れ果てているうえに、学校の勉強はすでに塾で習った内容なので授業がつまらないのです。そうなると、学校の授業にはそんな子どもたちを惹きつける“授業の質”が求められるわけです。学ぶことの楽しさはもちろん、学びが人生の役に立つ実感や、世のなかを変えたり自分の周りを変えていく力をもっていることを教えなければ見向きもしません」
しかし、なぜこのような深刻な事態があちこちの学校で起こっているにもかかわらず、いじめや暴力問題のようには社会問題としてクローズアップされず、本格的な実態調査が成されたりもしないのだろうか?
「いじめや暴力の場合は、学校側としては原因が家庭教育にあるとしやすいのです。しかし、学級崩壊に関しては、学校の責任が大きいため言い逃れができないので公表したがらないのが現状です。しかし、ここまで深刻化しているのですから、しっかりこの現実を受け止め、一日も早い対応をすべきだと思います」
子どもたちは成長過程のなかで彼らなりにもがき苦しんでいるのです。その叫びを封じ込めるのではなく、大人たちがしっかり受け止め、向き合い、導いてやることが学級崩壊の解決の第一歩なのかもしれません。
(構成・文/横田裕美子)
