●なぜ赤ちゃんの頭の形はゆがんでしまうのか
頭の形がゆがむ理由はいくつかある。まずは胎児の間に変形したもの。これは赤ちゃんがお腹のなかで横位になっていたり、あるいは多胎、早期下降や羊水が少なかったりすることが原因で、赤ちゃんの頭に圧力がかかってしまうことが要因だ。近年は不妊治療による多胎が増えていることもあり、このケースは増加しているという。そして出産時の外圧で変形するものがある。これは生後1カ月くらいで治るものが多い。
その他、後天的なのが”向き癖”によるもの。向き癖 がなぜ生じるかはよくわかっていないそうだが、生活習慣に伴うものもあるとのこと。片側、あるいは頭の真後ろばかりを下に向けていたなど、寝かせ方が偏っていることも理由のひとつとして挙げられるが、ママが同じ方向で抱っこしていることが影響することもあるとのこと。「そういえばいつも子どもの頭を右(または左)にして抱えているかも…」というママは要注意かもしれない。
それでは、頭の形が悪いからといって、見た目が気になる以外に何か大きな問題はあるのだろうか。
「頭蓋変形は、頭蓋縫合早期癒合症という病気で起こることもあります。ですから外来では、その有無を確認した上で、変形の度合いを見ていきます」
頭の形に左右差があると、なかにある脳も同じ形で成長する。仮に頭の形によって脳の形が左右不均等になったとしても、それが発達などに影響するかはわからないとのこと。
「おそらく(発達に影響は)ないと思いますが、ごく初期の運動発達の遅れや左右差が向き癖のきっかけになっているのかもしれません」と金子先生は語る。
どうやら、頭のゆがみが赤ちゃんの成長に影響する心配はなさそうだ。
(取材・文/相馬留美)
