老後のお金貯金にポジティブになれる「貯め体質」のコツとは?

老後のお金貯金にポジティブになれる「貯め体質」のコツとは?

●中期貯蓄の成功体験を重ねることが貯め体質をつくる!

ビジョンボードに貼るものは自由。「こんな暮らしいいな」「こんなペットを飼いたい」など、心が動くビジュアルをどんどんピックアップしていきます。それと同時に、貯蓄にまつわる小さな成功体験を積み重ねることも大切とのこと。

「頑張って家計管理をしても、家族や夫から褒められることって少なくて、なかなか達成感を得られないんです。そこで、長期のお金を貯められるようにするためにおすすめなのが、小さな成功体験を身につけること。たとえば、マラソン42.195kmを初心者が走ろうとしても、多くの人はその距離の長さに高いハードルを感じてしまいますよね。初心者の人が長い距離を走れるようにするには、短い距離から始めるといいといいます。今日はまず1km。明日はその先の電信柱まで。それをクリアできたら、来週は3km先の電信柱までと徐々に距離を伸ばして、1年かけて最終的に42.195㎞を走れるようになるのだとか。長期貯蓄はそれと同じで『今月は食費の予算が守れた。やった~!』と費目ごとの予算達成を確認しては喜ぶことをしていくと、達成感のたびに自分に自信がついてきます。『今年の貯蓄目標が達成できた~!』となれば、貯蓄に弾みがつきますね」

では、具体的にはどんな成功体験が効果的なのでしょうか?

「家族旅行のためのお金を貯めるという、家族で協力し合える短期の目標を立てることも有効な方法だと思います。たとえば、『夏に家族で遊園地に行こう貯金箱』を作ったとします。出先で飲み物やお菓子を買わなかった分を貯金箱に入れ『〇〇ちゃんが、頑張ってお菓子を我慢した分、貯金したよ~。ありがとね。あとこれくらい貯まると遊園地にいけるよ』などと家族の頑張りを『見える化』して、目標達成を家族で喜ぶようにします。そうすると、家族のお金の使い方にメリハリがつくようになります。その上、『楽しい支出(遊園地で遊ぶ)』のために、『必要でないものへの支出(お菓子やジュースを買うこと)』をやめることができたという体験は、家族的にも大事な記憶になります。こうした成功体験を重ねることで、長期の貯蓄も苦にならない体質が出来ていくのです」

老後のお金貯金にポジティブになれる「貯め体質」のコツとは?

●お金を大切にする意識を高める方法とは?

また、お金と“いいお付き合い”をしていくための心掛けとして、次のようなコツを教えてくれました。

「毎晩、お財布の中から翌日の生活に不要なレシートを出します。お札は、綺麗に揃えたうえでお財布に戻します。レシートは捨ててもいいですし、家計改善用に使えるのであれば、袋や箱に入れてもいいでしょう。とにかく『毎晩』です。お財布からレシートを出して、お札をそろえる! これを2週間続けることができたら、次は翌日使うポイントカードだけ選んで、お財布に入れるという作業を加えます。不要なポイントカードはお財布から出し、カード入れを作ってその中に納めます。この2つの習慣ができるようになると、お金を大切にするようになります。今日の振り返りができるとともに、明日の予定を考える訓練にもなるんです。ぜひ実践してみてくださいね」

おさらいすると「ビジョンボードの作成」「中期貯蓄の成功体験」「日々のお金との向き合い方」。この3つのポイントを意識すれば、長いマラソンのような老後資金の貯蓄にも楽しく取り組めるかもしれません。

(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

安田まゆみ

元気が出るお金の相談所 所長

1955年、東京生まれ。大学卒業後、雑誌編集者、外資系損害保険代理店を経て、96年からファイナンシャルプランナーとして活動を開始。 東京・銀座の「元気が出るお金の相談所」所長。FP歴22年目。これまでの相談件数は5000件以上、講演回数は1000回を超える。CFP認定者(国際資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)、NLPプラクティショナー、カラー心理カウンセラー。