夫のメンタル不調を予防するために夫婦でできることは?

夫のメンタル不調を予防するために夫婦でできることは?

「イクメン」が父親の姿として当たり前になりつつあるなかで、仕事とのバランスがうまく取れずにしんどい思いを抱えている男性もいる。夫婦間でできることはあるのだろうか。父親の産後うつの研究をしている国立成育医療研究センターの竹原健二さんに聞いた。

●夫婦はチームだと心得ることが夫のメンタル不調予防にも

寝不足に悩まされるなか、家事や育児に奮闘するママ。とくに産後はホルモンバランスの変化などもあり、夫に対して優しい気持ちになれない人もいることだろう。家事や仕事の負担など、自分の大変さを主張するのは一時的なストレス発散にはなるかもしれないが、夫婦関係が悪化するおそれもある。

「仕事に加えて、家事や育児への負担が重なった結果、パパがダウンしてしまうこともあります。もしパパが倒れてしまったら、ママはパパからのサポートが受けにくくなるだけでなく、子育てと同時にパパのケアもしなくてはいけなくなってしまう。2倍の負荷が生じることに加えて、休職や退職による経済的な不安も抱えるリスクがあります」

夫婦をチームと心得て、子育て期をいかに乗り越えるか。そこに重点を置いて考えれば、互いに気づかう優しさも生まれるかもしれない。

●家事のあら探しよりも「ありがとう」

父親は家事をする時、クオリティの高さは目指していないと竹原さんはいう。

「役割分担されている場合を除き、パパは家事を手伝おうとする際、『ママに少しでもゆっくりしてもらいたい』ことが目的です。なので、ママが求めるような家事のやり方、出来ではないことも多い。多少の粗があったとしても、まずは『パパのおかげでゆっくりできたよ。ありがとう』と声をかけると、パパのモチベーションが上がって、次第に家事の精度も上がるかもしれません」(竹原さん 以下同)

洗ったはずの食器に多少の汚れが付着していたり、洗濯物がシワだらけの状態で干されていたり。妻からすると、夫に家事を任せても二度手間になるだけと思う人もいるかもしれない。

しかし、家事のあら探しに目くじらを立てるよりも「ありがとう」と伝えた方が、夫婦の関係性もよくなるだろう。食器の洗い方を教えるのは、その後でもいい。

小さい子供がいる家族

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竹原健二

国立成育医療研究センター研究所政策科学研究部 政策開発研究室長。筑波大学大学院卒。妊産婦ケアや父親のメンタルヘルスなどを中心に研究を進める。3児の父親でもある。