お歳暮に魚を送る風習
最近はあまり目にしなくなってきていますが、一昔前はお歳暮に新巻鮭など大きな魚をまるまる一匹送っていたということも多かったようです。特にこのような風習は、山間部、内陸部で活発だったようで、現代のように物流が発達する前は、大都市と海に恵まれた土地以外は、海産物を食べる機会というのはほとんどなかったんだそう。
そこで、神事に魚を使うことから、保存用に塩漬けされた魚を大晦日やお正月に年に一度のぜいたくで食べていたというのが、年取り魚を食べるようになった理由ではないかとも言われています。特に山間部では、良質のタンパク質を多く含んでいる鮭やブリは、冬を乗り切るための貴重な栄養源だったみたいですね。
おせちでもないのに、大晦日やお正月に毎年魚料理が出てきていたり、お歳暮に魚が送られてくるというのは、このような年取り魚の風習が理由。現代ではどこでも刺し身が食べられるほどに魚を食べるのは当たり前になり、失われつつある風習となってきているようですが、年末年始に鮭やブリを食べる機会があったら、年取り魚の話をしてみてはいかがでしょうか。
(文・姉崎マリオ)
