●子に愛情差を感じる理由
「自分の子であっても、きょうだいで愛情差を感じてしまうママは少なくありません。その理由には妊娠・出産時の状況や、ママの過去などさまざまな原因が考えられます」(窪田さん 以下同)
きょうだいで愛情差が生まれてしまう原因として、下記のような理由が挙げられるという。
・妊娠・出産時の状況
たとえば、第一子の妊娠が予想外で仕事を辞めざるを得なかったが、第二子は計画的な出産だったというケース。「上の子のせいで仕事を諦めた」という思いから、きょうだいで愛情差が生じることがあるそう。また、子が、親の望んでいた性別でなかったことが原因になる場合もある。
・出生順位
出生順位で愛情差がついてしまうことも少なくない。幼い下の子をかわいく感じて、「最後の子育てを楽しみたい」という気持ちからつい甘やかしてしまい、上の子には「お姉ちゃんだから」と我慢をさせがちだ。一方、上の子は初めての育児なので思い入れが強いということもある。
・子の個性
子の寝付きが悪い、よく泣く、偏食があるなど、「育てにくい」と感じることで愛情差が生まれることも。育てやすいほうがかわいく感じる場合もあれば、手がかかるほど愛着をもつこともあるのだそう。
また、きょうだいのなかでもスポーツが得意、勉強ができるなど、親が望む才能を持っている子に対して関心が高くなる親もいる。ほかにも、素直で甘え上手な性格の子がかわいいと感じたり、容姿などで愛情差が生まれたりするケースもみられる。
・自分や他人を子に投影する
ママが、性格などで自分の嫌いな部分を子に見たとき、自身と子を重ね合わせてしまい、イライラしたり嫌悪感をもったりするケースだ。自分以外でも、ママがよい感情を抱いていない夫や義両親、実親に似ている部分を子に見出し、愛情がもてなくなることも珍しくないという。
たとえばママが自分の兄が嫌いな場合、上の子に兄の姿を投影し、厳しく当たってしまうパターンもある。
また、愛情差はなくても、女の子だけに家事などの手伝いをさせることが、子どもに不公平感を抱かせることも少なくない。

●子への差別が生む、子への影響
たとえ親は自覚がなくても、子はきょうだいで差をつけられていることを敏感に察知する。親から差別を受けたり、愛情差を感じたりした子はどのような影響を受けるのか。
「『ほかのきょうだいに比べて、自分は親に愛されていない』と感じた子は、自尊心や自己肯定感が低く、劣等感や不安を感じやすい子になりがちです。親にきょうだいと比較され続けていた場合、自身も何かにつけ他人と自分を比べるようになり、そのたびに自信をなくしてしまうのです」
親からの愛情差や不公平感を感じ続けると、うまく自己主張ができなくなったり、親から関心を持ってもらいたいがゆえに暴力などの問題行動につながったりすることがある。その結果、対人関係がうまく形成できない大人に成長する場合があるそうだ。
「逆に、ほかのきょうだいより親にひいきされている子にも悪影響を与える可能性があります。子は親の愛が条件付きであることを察知し、その要素が自分からなくなると親から愛されなくなるのでは、という不安を感じたり、自分を守るために親に同調する一方で、きょうだいに対して罪悪感をもったりしながら育つケースもあります」
