子どもたちに手作りの玩具を。震災を機に生まれた裁縫ボランティア

子どもたちに手作りの玩具を。震災を機に生まれた裁縫ボランティア

「ありがとう」が連鎖する場所作り

子どもたちに手作りの玩具を。震災を機に生まれた裁縫ボランティア

公民館などで不定期に開催しているチクチク会には、赤ちゃん連れで来るママも多いのだそう。

「裁縫に熱中する人もいれば、集まった子どもたちの遊び相手をしてくれる人もいたりして、地域の方々の交流の場にもなっているんです。裁縫が得意じゃなくても大丈夫。実は私自身も不器用で裁縫が苦手なんです(笑)。小さい子どもがいると特に、家にこもりがちになって世間との接点をなくしてしまうママも多いですが、ボランティア活動に参加することで自分の居場所を作ってもらえればいいなと思います」

ボランティア活動というと身構えてしまう人も多いですが、動機はなんでもいいから興味のあることを気軽にやってみればいい、と田中さんは言います。

「普通に生活していると、誰かに『ありがとう』と言われることは少ないですよね。でもここではたくさんの『ありがとう』が飛び交っているんです。生地を提供してくれて『ありがとう』、縫ってくれて『ありがとう』、届けてくれて『ありがとう』、そしてなによりプレゼントを受け取った子どもたちからの『ありがとう』。この取り組みを通してたくさんの『ありがとう』が連鎖している気がします」

誰かのための行動が自分自身の世界も広げてくれる。感謝の気持ちをリレーする素敵な連鎖が生まれているようでした。
(文・宇都宮薫)

お話をお聞きした人

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田中弘実

チクチク会代表

被災地や児童養護施設、小児病院などに手作りのフェルト玩具を届ける活動を行なっている。